夜の昼寝 [on] (ページ16)

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朝寝、夜寝 1 ページ16

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ここ数日の智は、朝も夜も区別がない。
以前から、以前というのは小さい子供の頃から、
夢中になると寝食が疎かになり、一日がひっくり返るのは不思議なことに二人同じだったらしい。しかし今度は全く別の理由で、それも片方のみ。
ここ数日の智は、朝も夜も区別がない。

和也、実はお粥を作ったのははじめてだった。
お粥といえば、レトルト袋をひっくり返してラップをしてレンジであたためればできるもの。現代を生きる和也の認識は上手くパウチに閉じ込められている。

でも、できれば味気ない白粥ではなくついでに栄養も摂らせたいのが同居人というもの。ぐつぐつ、してあげたいのが、腹の底の愛というもの。

そういう事情で、インターネットで「中華粥レシピ」なんてサーチをかけて、眉をひそめ独り言まで呟きながらお米を煮込んでいる姿が、智の潤んだ目に映った。

「できたら持って行くのに、あ、しゃべんないでいいから」

一昨日からの扁桃腺炎で発熱や咳に加え声が殆ど出ない智に、和也はぱたぱた走って先回りしながら、しゃべらないでといちいち制止する。
それはねずみのようにも、犬のようにも、ありのようにも見えるので、智は咳の合間に笑ってみるのであった。

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