ラテンな君と【ホセパン】

はじまりはじまり ページ2

____キィー、バタン。ガチャリ


無機質にドアのカギをかける音がする





ここはとある施設の檻の中だ。
私は生まれた時からここにいて、外の世界に出たことは、無い。

知っている外の世界と言えば、窓の外から物珍しそうに私を見る人と、読み古した小さな本。中には物語が沢山つまっているこの本は、私のお気に入りだ。

そして、この物語みたいに友達をつくって、沢山の景色を見て、幸せに暮らすのが私の夢だ。


めでたし、めでたしという感じで。


今はひとりでクチャクチャと食事をしている。上質だけど、いつも同じで、独りぼっちの食事。窓に群がるギャラリーというオプションつきで…



今日も食事を終え、人も居なくなり、飼育員が片付けに来た。
飼育員が食器を回収してドアを開ける。

ドアを閉めてカギを……かけない…？！

なんと、どんなに待っても一向にカギをかける音がしないのだ。
ためしにドアに近づいて少しドアを押してみる。



キィー……

……………………開いた！！！！！！

これはもしかして、もしかしたら
「チャ、チャンスってこと…！？」

幸い回りに人は居ない。今しかない。
私はドアの外へと、飛び出した









「おっと」
お気に入りの本を忘れてた。私は本をしっかりと掴んだ

「さ、気を取り直して！」

私は急いで、もう一度ドアから飛び出した。

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