広がった視野から見えたもの ページ44
家に帰ると不安が溢れる。
本当に皆は存在するのか、雪城を受けて通う事になったらそこにいてくれるのか。
本当に記憶の鍵なんてあるのか。
記憶の鍵と仮定してるあの植物は何を試そうと一向に成長しない、花は咲かない。
条件なんて言って本当は最初からあのお城の思い出は消えてなくなるようになってるのかもしれない。
『ダメだ。考えるのやめよう』
どうせ、お城に入ればいつも通りこの不安は消えて馬鹿みたいに記憶の鍵の手がかりを探すんだ。
『え？』
「あ、ちょうど呼ぼうと思ってたんだよ」
「久しぶりだね。お邪魔してます」
『…どうも』
ご飯を食べに下へ降りると編集さんがいて、いつもは2人分の食事が3人分あるのを見て嫌な予感がした。
「今日は3人で食べようね」
『なんで？』
「先生が締め切り間に合いそうになくて…見張り役なんだ。ごめんね」
『…こちらこそすみません』
「連載とは別にもうひとつ書いててさ。それを春には出したくて…」
「締め切りさえ守ってくれたら別で何を書いてても文句ないですけどね」
「ごめんなさい」
嫌な予感が的中して3人で食卓を囲む。
「Aちゃん」
『はい』
「またお土産持ってきたから先生に取られる前に食べてね」
『いつもありがとうございます』
まぁ…ほとんどひかるくんが食べるんだけど。
「えっと…あ、Aちゃん高校決めた？」
『一応…雪城です』
「一応？他にも候補があるの？」
『いえ…そういうわけじゃ…』
「雪城。いいと思うよ。学食が美味いの」
『学食？』
「実はね俺も雪城出身w先生の担当になったのもそのご縁があってね」
『そう…なんですか』
ずいぶんと今日は饒舌で普段のオドオドとした態度も私の様子を伺うような嫌な視線もない。
こんな風に笑う人だったんだ。
もしかしたら元からこんな風に笑ってくれてたのかもしれない。
この人と出会った時の私は自分の事なんかどうでもよくて、周りに味方なんて誰もいないと思い込んでて勝手に「妹」のように思ってるなんて言ってきたこの人に酷く苦手意識を持って接してきた。
あのお城に行って、皆と会って、過ごして…確実に私の世界は変わって視野が広くなったのかもしない。
「雪城、受かるといいね」
『はい…ありがとうございます』
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作者 - a-yaさん» a−ya様。お返事遅くなり申し訳ありません。サブ更新作品の為に頻度が低いですが完結まで見えていますので、それでもよければこれからもよろしくお願いします。コメントありがとうございます。 (9月4日 23時) (
レス) id: 8f5e67220a (このIDを非表示/違反報告)
a-ya(プロフ) - すごく面白いです！更新楽しみにしています！ (8月28日 21時) (レス) @page20 id: 672b289667 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - うな！さん» うな！様。お返事遅くなり申し訳ありません。こちらの作品はサブ更新なのでこれからも更新スピードは遅いですがそれでもよろしければこれからもよろしくお願いします。コメントありがとうございます。 (7月2日 20時) (レス) @page15 id: 8f5e67220a (このIDを非表示/違反報告)
うな！ - 久々の更新とても嬉しいです！続きも楽しみにしています！ (6月26日 23時) (レス) @page15 id: 4785f44992 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2023年3月17日 16時
