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理想を破り捨て(文豪ストレイドッグス・国木田独歩) ページ4

有り得ない。


あんな奴が気になるなど、あってはならないのだ。


あんな奴...





俺の理想の女性じゃない...









...はずだ



────理想を破り捨て────


『敦くん、昼は一緒に食べないかしら?』


敦「は、はい喜んで!!」


今小僧を難破しているこいつはA。俺の部下である。


そう、只の部下だ。


只の部下なはずなのだ。


『そんなに緊張しなくてもいいのよ、まぁそこも可愛いのだけれど。』


敦「かわッ...!?」


こいつは所謂「年下好きの一応お嬢様な問題児」である。


年上の人にはしっかり敬意を評しているが、歳が近い者には攻撃的になり、年下の奴には甘く接する。その性か依頼人を怒らせることが多々有るのだ。


...そしてなんというか、こう、Aの奴が他の男と話していると、胸が妙に気持ち悪くなる。


太宰曰く「それは恋だね!」だと言うが、そんな理由があってたまるか。


第一あんな奴俺の理想の女性とはかけ離れすぎている。


恋などするわけが無いのだ。



国「こら、昼の計画を立てる前に、貴様は仕事を終わらせろこの問題児!」


『五月蝿のよ、誰が問題児かしらこの理想信者!仕事なんて直ぐに終わらせてやるかしら!』


俺が叱りに行くと、Aはキッと目を細め、暴言を吐いたあと仕事を再開した。


...やはり好きになるわけが無い。




敦「...あの、国木田さん」


国「ん、なんだ小僧、貴様も仕事に戻らんか」


敦「もしかして、なんですけれど......






国木田さん、Aさんのこと、好きなんでしょうか?」





ば、




国「ばばば莫迦!!お、俺があんな奴の事好きなわけが!!好きな、わけが無いだろう、が!!」


敦「うわ、わかりやすい...」


国「第一!!Aなど俺の理想の女性には程遠い!!掠りもしない!!」


敦「でも国木田さん、Aさんと話す時耳が赤くなって...」


国「無い!!断じてない!!」


そう言った俺は気づけば探偵社を飛び出していた。








帰るに帰れず、俺は河原で悩み込んでいた。


...ずっとこうして逃げ続けていた。


自分の気持ちを理想で押し殺そうとしていた。


薄々気づいていながらも、否定し続けた...


第一、俺はあいつ"の"タイプでも理想でもない。


受け入れられるはずなど最初からさらさら無いのだ...。









?「おや、国木田君じゃないか。どうしたんだい珍しく。」

▼→←しんじゅうびより(文豪ストレイドッグス・太宰治)



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作者名:優希 | 作成日時:2016年5月5日 19時

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