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「ハク先ぱ……誰？」
異能で伝えることもできたけど、わざわざ発動させるのが面倒だったから、飲み物を取りに行く体でついでに報告。……しようとしたら、なんか先輩が茶髪の女の子と一緒にいた。
ハク先輩はこっちを見るとふにゃっと笑う。これは面倒ごとを押し付けられるパターンだ。
「嗚呼八雲君。丁度良い、この子迷子らしいんだけど、親か連れの誰か探してくれないかな？」
「え"っ、良いの？」
「まだ大丈夫。探したげて、君なら一発でしょ」
俺は悟った。これハク先輩がめんどくさいだけだ。俺は少し目を泳がせた後、ハイハイと観念したように小さく能力名を呟いた。
これ疲れるんだよなぁ。異能はどれ使っても疲れるけど。
「異能力＿＿＿『怪談・耳無芳一の話』」
俺の異能『怪談』は、全部で17通りの効果がある。
その中の『耳無芳一の話』は、半径50mの人の心を読み取れる能力だ。でも使い過ぎると頭痛や目眩がして来るので、発動時間は数分ちょっとだけ。
「あー……君、お嬢さん。もしかして眼鏡をかけた青いジャケットの子、友達？」
女の子は不思議そうな顔をしてコクリ、と頷く。異能を知らない感じかなぁ、これ。まあ都市伝説扱いだもんなあ。
俺はハク先輩にいろいろ報告してから、二人ぶんのジュースを持って女の子とろっちゃんのとこに戻る。
「ねえ、場所分かるの？」
「まあね。はぐれないでよ」
随分と大人びた様子の女の子だ。こう……何故か自分と同い年の女性と話している気分。
人を掻い潜りながら真っ直ぐ進むと、隅の椅子にろっちゃんと、眼鏡の男の子がいた。
「え、灰原？」
「あら江戸川君」
よかった、ちゃんと知り合いだったっぽい。
「小泉、遅かったな随分と。迷子にでもなったか」
「ろっちゃん違うから。迷子はこっちの女の子。その男の子の連れね」
ハイバラちゃんって名前らしい女の子がエドガワくんをなじる。
……えどがわ？
「江戸川君が急に走っていくものだから、見失っちゃって気付いたら1人よ。さっきの人に話しかけられなかったら、見つけてもらうまでずっとそのままだったかもね」
棘のあるハイバラちゃんの言葉にエドガワくんが肩を竦めた。
「ワリィワリィ、そりゃ災難だったな」
「さて少年、私は相手が戻って来たところだし仕事に戻る。楽しかったよ」
「ん。じゃーねお姉さん」
さっき俺が読んだのはやたら楽しそうなろっちゃんの心と、困惑するエドガワくんの心だ。
何かいいことあったのかな。
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作者名：雪寝 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni
作成日時：2023年10月3日 0時
