・ ページ23
＊＊＊＊＊
『ねえ、いつになったら解放してくれんのさ』
流石にもう腰が痛いよう。お腹も痛いよう。思いっきり蹴られた足も痛いよう。温泉入りたいよう。温泉で有名な街が明日の取材の予定だったんだよう。
さっき八雲がもそもそ言いながら起きてたんで白秋がホッと一息付いていた。
『まず貴方達が如何やってこの屋敷に侵入したのかを聞きたいのですが』
「だぁーかぁーらぁー！ 山行ったら変な歪みがあって其処に入ったらまさかの行き先がここだったの！ 俺だって知らないの！！」
八雲がギャンギャンと喚き出す。まあ、気絶させられた上にそんなこんな言われたら叫びたくもなるよねえ。
てか腰が痛い。でも1人じゃ起き上がれないから誰か助けてー。
オレもう腕が痛いんだよぉ…足が痛いんだよぉ…明日全身筋肉痛のパターンだよぉ……。
『まず私達が此処に侵入するメリットが無いのだ。全員衣食住保証されてる健全…かもしれない社会人だ』
冷静な顔と声色で蘆花が言った。いやいやいや、かもしれないって、かもしれないって。
「かもしれないってなんですか。人聞きが悪いですぞ蘆花」
「二番目に捕まッた四迷君は黙ッてて」
「アッハイ」
この場合、最長記録保持者が最優先。だがしかし悔しい。くっそこの野郎。前職の給料俺より少なかったくせに。
……まあ俺の給料殆どが真っ黒いお金だったけどね。殆ど使えないけどね！
『まあ、
「ろっちゃん、アンダーテイカーって何？」
「知らん。渾名か特殊職業の辺りではないか？」
まだ英語が未完全な八雲が聞くも蘆花は知らない。まあオレも知らない。何だよアンダーテイカーって。
てか逃げたい。元参謀長ナメちゃ駄目よ。何回も捕まったことあるし脱出なんてお手の物なんだけどさ、執事君が怖いんだよ。
さっきからずっとじろーりじろーりこっち見てくるんだもん。
オレ悪い事した？………してましたね前職で。思いっきりしてましたわ。何この虚しい一人突っ込み劇。
「白秋〜……異能使って逃げられない〜？ オレ使っちゃ駄目だからさぁ〜……」
「合図どうすんのさ〜……僕と君となら通じるけど、蘆花ちゃんと八雲君は分からないでしょ？」
「でも逃げ果せるなら全員が絶対だよな〜」
八方塞がりとはこの事だ。
＊＊＊＊＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪寝 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni
作成日時：2023年10月3日 0時
