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「蘆花と八雲、オレと白秋と中島君、国木田君と治のペアで主に行動。犯人見つけて、犯行現場見たら速攻取り押さえ。いいね?」
車に乗って数時間、東都に着いた7人は二葉亭の作戦の再確認をしていた。
主に徳冨組で情報収集(特ダネ掴めたら直良し)、探偵社組が犯人探し、二葉亭組は各組の援護に回る。
異能で常時気を張らなければならない徳冨は、誰にも気づかれないよう小さく溜息を吐きながら会場に入る。
他の班とは怪しまれないように、入場時間に差を付ける事にしたのだ。
「あ、ろっちゃんは鼻大丈夫?香水とか駄目でしょ?」
情報収集の為に嗅覚、聴覚、視覚を強化させた徳冨にとって、香水など香りのキツイものは唯の嫌悪対象である。
多少敏感なタチといえど、一般人の小泉でさえ鼻が曲がりそうなのに、更に強化されている徳冨の苦痛はどれほどだろうか。
「曲がるを通り越して潰れそうだ。香りを過剰に飾り付ける必要性を問いたい」
「複数混ざるとゲロりそう」
「刺されるぞお前」
二人はぐるっとフロアを周り、ジュースを持ってくる名目で北原に状況報告に行った小泉を目線で見送る。
徳冨は壁際に寄り、これから酷使する予定の目を閉じて休ませようとした。
その時、隣の誰かから声を掛けられなければ。
「おねーさん、もしかして記者さん?」
バッと効果音が付く勢いで隣を見ると、其処にはアホ毛にツンツンした髪が特徴の少年が居た。
待った、今何を言ったこの少年。
「なぜそう思ったんだ?」
素直に驚いて遠回しに続きを足す。すると少年は得意気に話し始めた。
「お姉さんの手にペンだこが有るし、さっきのお兄さんとペアには見えなかったから同僚か後輩でしょ? ペンだこが出来て、同僚か後輩と居る、それでこんなパーティーを楽しもうとせずしてるのは仕事で来てるからかなぁって」
何だこの少年、洞察力が並外れてるぞ。
「あとおねーさん、太腿に小型拳銃隠してるでしょ? そんな物をただの物書きが持てるわけないもんね」
腹の底から笑いがこみ上げて来た。何だこの少年、小泉に見習わせたい。
ペンだこ、同僚、仕事、拳銃まで見抜きやがった。拳銃については隠していたつもりだったのに、こうもあっさりバレるとは。
「君、本当に少年かい?」と聞いてしまう。随分おかしな少年だ。さて、これは報告すべきか。
「私は徳冨蘆花、お察しの通り記者だよ。君は?」
「江戸川コナン、探偵さ」
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作者名:雪寝 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni
作成日時:2023年10月3日 0時