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「この今蘆花が気絶させた四人組を引き渡すのは構わないけど探偵社は場の鎮圧と市民の避難が最優先でしょ? 見てごらん、彼方で火の手が上がっているなあ彼処は確か公園の辺りで子供が沢山いるんじゃない? 逃げ遅れたご婦人とかさっきの化け物の突撃の所為で崩れた建物もあるよね絶対。対して新聞社は其処まで表立った行動はしないというかしたくないし出来無いし此れくらいの雑務は請け負うよ。オレ副社長みたいなもんだしお客を迎え入れるくらいの権限はあるんだよねえ。治は其のオレにも鷗外にも勝った事の無い鳥頭が役に立つかもしれないじゃない若しかしたら心中出来るかもしれないよ少し行って来な。与謝野さんなんてほらもう行ってるじゃん。先輩や後輩ばかりに任せていて良いの? ほらほらほらほら行ってらっしゃい。どうせオレさっきの襲撃で残業確定なんだから此れくらい…ねぇ?」



以下長過ぎる為略。


「先輩、私帰る途中だったのですが」
「ちょっと黙りなさいね蘆花」


……以上が元ポートマフィア最年少参謀長の提案(と言う名の言葉の羅列)である。無駄な所で頭が働くのが厄介な事だ。
この無駄であり途轍も無く果てしなく早く回る頭で捥ぎ取った謎の四人組は、目の前に緑茶と御茶請けを置かれて呆然としていた。


目の前にはニコニコと笑う北原。北原は新聞社で一番交渉が上手い。
織田が悟った。あっ此れ絶対アカン奴や、と。

「ええ〜ッと、さっき君達変なの倒してたよねえ? 何で出来たのか教えてくれないかな?」
「え"っ……あー…き、企業秘密」

政府設立した図書館の言わば秘密業務。自分達が錬金術師によって転生した文豪で、此処は物語の中なんて言えるはずがない。
まず此の本は誰の著作かも分からない白い有碍書で、「此れ怪しい」と見た司書の選抜した図書館最高戦力の会派で潜書しているのであった。

「んじゃあさ、名前だけ教えてよ」

……未だ現世に慣れていない文豪は名前の一つ二つが物事を左右するとは知らない。側や新聞社、いや二葉亭に教えるなど自害行為同然である。
それも其の名前に含まれた意味も知らず、もうどうにでもなれと織田作之助は自分の名前を言った。

「ワシの名前は織田作之助!しがない物書きやっとります!」


その名前を言った直後。がちゃん、と湯呑みが一つ割れる音が新聞社に響いた。



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作者名:雪寝 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni  
作成日時:2023年10月3日 0時

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