【名探偵コナン】 ページ1
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「ポートマフィアの縄張りから麻薬を盗んだ組織……」
簡潔にまとめて復唱した谷崎に続き、どんな自 殺行為だ、と国木田が顔を歪ませる。
その二人の反応を見て、同意の意を含めて徳冨が小さく相槌を打った。
「もともときな臭い組織だったから記事にするには十分だが、相手が相手だ。犯人に迫るとなると、探偵社の助力を仰ぐべきだと社長が判断した」
徳冨蘆花、北原白秋が仕事を探偵社に持ち込んだ。
普段は情報屋の側面も持つ新聞社に探偵社が赴くような間柄なので、余程のことがない限り新聞社が協力を求めることはない。
つまり、今日はその余程ということだ。
ポートマフィアの麻薬が横流しされた。
これは元ポートマフィアの二葉亭四迷が掴んだ情報である。
前職では参謀を請け負っていた為に彼の情報網は広く、特にマフィアの密輸ルートに目を光らせている。
今回ばかりは二葉亭も出てくるそうで、北原、小泉、徳冨、そして二葉亭の四人で捜査に向かうらしい。
しかしもう少し人数がいた方が良いのではないか、犯人を捕まえたら如何するんだ、ポートマフィア関係をやすやす警察に引き渡すのはマフィアの報復が警察に及ぶきっかけになる、と社内で意見が割れた。
よって、探偵社と関わりの深い彼等が直々に頼みに来たのである。
「私達を連れて行ったら逆に警戒されるだけではないかい? 御宅の社長の名前を使えば、割とそう言うの一発な気がするけど」
太宰が一つ疑問を挙げた。確かに新聞社の社長は探偵社の社長並みに名が通っている。その太宰の提案に北原は黙って首を横に振った。
「一応『井伏鱒二』の名前を使えばいいッて言う案も出なかッた訳ではないんだけど、やっぱり世間様に言わせれば僕等はマスコミなんだよね。しかも元犯罪組織所属、元探偵社所属、前科持ち、そして戸籍無し」
うんうん、と徳冨が頷く。
「四迷君が軍警に見付かッたらヤバいし、僕だッて経歴真ッ白な訳じゃない。八雲君は言わずもがな、最後蘆花ちゃんだけど、その蘆花ちゃんも戸籍無しだ」
つまり、いざという時の保証が欲しい。北原が言いたいのはそういうことだ。
打ち合わせの結果、国木田、中島、対異能力の為に太宰も同伴する事になった。
「にしても、潜入となると白秋さんの異能が火を吹くねェ」
腕を組んで笑う与謝野に、北原が笑みを深めて答える。
「あはは。治君には効かないから君は自前で着てきてね」
「はーい」
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作者名:雪寝 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni
作成日時:2023年10月3日 0時