五話 ページ5
＊＊＊＊＊
寮長先輩のようなギザギザの歯。ターコイズブルーの髪に一筋だけの、黒い触覚。そして鈍色と金色のオッドアイ。こんな特徴的な見た目だけど、この学園内には恐ろしいことに二人もいる。
リーチ兄弟のやばくなさそうでやばいほうの、ジェイド・リーチだ。
リーチはにこっと人当たりの良さそうな、何とも胡散臭い顔をすると、ボクの方にずいっと近づいてきた。怖い。普通に怖い。
イグニハイド情報網の掲示板では、彼は「キノコオタク。なお近づいてはいけないタイプのオタク。キノコを彼の前で食してはならない。絡まれた場合は適当な相槌を打つのが最善手。闘争と逃走は非推奨」とされている。ちなみにこの掲示板はイグニハイド寮生の端末からのみアクセスできる、寮長先輩が運営する安全安心のサイトだ。
「ひぇっ。り、リーチ君……」
「どうも。頻繁に植物園でお見かけするのでサイエンス部の方だと思っていたのですが、補習ですか？」
さらっと失礼なことを言ってくる。心が折れそう。
っていうか彼もサイエンス部じゃなかったはずだ。たった一人で「山を愛する会」なるものを創設し、日々山、主にキノコを愛でているという話である。
「い、いや……その……」
「ああすみません、いきなり不躾でしたね」
「そうだぞ、ジェイド。あんまり怖がらせてやるな」
クローバー先輩のお言葉にそうだそうだと大合唱したい。陰キャの心に会心の一撃を入れるのは致命傷になりかねないからやめなさいってプレスクールで習わなかったか？やはり人魚とボクらはそういうとこ教育が違うのだろうか。全国全種族の教科書に明記しろこの野郎。
心の中だけで煽っていれば、好感触の返事がなかったことで興味が失せたらしいリーチは、「それでは」と言い去っていった。嵐を一つやり過ごした心地だ。
「ボンジュール、ムシュー・ハンター！キミは相変わらず人が苦手なようだ」
「ルーク先輩……って、どこにいるんです」
部活動開始から顔が見えないと思っていたルーク先輩は、なんとボクの真上にある木によじ登って何かの花の蜜を採っていた。
「先輩。それ、魔法で採っちゃダメなんですか？」
「ノン！この花の蜜を採取するためには非常に繊細な作業が必要となるのさ、魔法でやってはあっという間にブロットが溜まってしまう。ムシュー・ハンターはもう作業終了かい？」
「一応」
「それではティータイムと洒落込もうか」
「ケーキあります？」
「トレイ君の手作りだよ」
「最高」
＊＊＊＊＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 670人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
寝夢@睡(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» ありがとうございます！ (2021年1月25日 23時) (
レス) id: a54aa7d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - この作品が本当に好きです…ｲｸﾞﾆの陰キャっぷりが見て取れる…応援してます！！無理しすぎない程度に頑張ってください！！ (2021年1月25日 11時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@睡(プロフ) - ポテチうまぁさん» どうぞ何回でもお読みください^ ^ (2020年9月27日 22時) (レス) id: 2e8abeafcf (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@睡(プロフ) - 花浪さん» ありがとうございます！ (2020年9月27日 22時) (レス) id: 2e8abeafcf (このIDを非表示/違反報告)
ポテチうまぁ - これを一気読みしてしまってた自分が....ｱｯ自然ともう一回読もうとしちゃってる (2020年9月27日 15時) (レス) id: 335118f9cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：寝夢@睡 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yukinemuri56/
作成日時：2020年6月21日 17時
