十一話 ページ11
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「何なんスか、何なんスかマジで……！」
ラギー・ブッチは校舎の中を、持ちうる脚力の全てを使い全力疾走していた。
背後から感じる視線を撒くように、追いつかれたら死ぬとまで思って。
「ホントに、ルークさんはオレになんの恨みがあるんスか〜っ！！」
全獣人族の敵、ルーク・ハントから逃げていた。
ちらっと見る後ろには、未だにぴったりと付いてきている人影。獣人の中でも足が速いラギーに付いてこれる者は獣人の中でさえ一握りだ。人間が完全に追いつくだなんてことは、ほとんどありえないと言ってもいい。
しかしこの自称・愛の狩人に、一般常識なんてものは通じない。
「そろそろ追いかけっこは終わりかい、ムシュー・タンポポ！」
「息切れ一つしてねぇのかよ！！」
この人絶対人間じゃねぇっス。顔を青ざめさせながらラギーはそう思った。自分の全力疾走に張り付いておきながら、息を乱すことさえしないとは。
そしてルーク7つ道具の一つ、麻酔猟銃の発砲音を聞いた瞬間、己の敗北を悟った。
＊＊＊
「本当は獅子の君に直接釘を刺すつもりだったのだが、流石に他寮まで乗り込むとヴィルにも迷惑がかかるからね」
「まあ言付け役が、ムシュー・タンポポになったのは偶然さ。本当に、そこに居たからとしか言いようがない」
「では本題に移ろうか」
「イグニハイド寮の二年が、サバナクロー同士の諍いに巻き込まれて命を落としかけた事件」
「イグニハイドの彼は私のお気に入りでね」
「これは狩人の感としか言いようがないのだが、あのまま私が手を出さなければ、彼は間違いなく死んでいた」
「私の手の届く範囲外で彼が害されるのは、偶然でも許せないのさ」
「獣の躾は行き届いていないとね」
「さもなくば私が手ずから、狩ってしまうよ？」
＊＊＊
「やあ薔薇の騎士、ご機嫌いかがかな？」
白衣で現れたルークに、トレイは苦笑いで答えた。
「そのあだ名、小っ恥ずかしいからやめろって。今日は随分遅かったな」
「少々獲物と戯れていてね。クルーウェル先生と、ムシュー・ハンターは？」
「クルーウェル先生は補習。ロタは珍しくボドゲ部の方に顔を出すそうだ」
アズールの契約根性を恐れて、ロタは滅多に部活には顔を出さずサイエンス部で活動している。本当に珍しいことだった。
ルークはふむ、と一言だけ言い、収穫用の籠を手に取ってなんでもないように笑った。
「それならできるところまで収穫してしまおうか」
「ああ」
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寝夢@睡(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» ありがとうございます！ (2021年1月25日 23時) (
レス) id: a54aa7d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - この作品が本当に好きです…ｲｸﾞﾆの陰キャっぷりが見て取れる…応援してます！！無理しすぎない程度に頑張ってください！！ (2021年1月25日 11時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@睡(プロフ) - ポテチうまぁさん» どうぞ何回でもお読みください^ ^ (2020年9月27日 22時) (レス) id: 2e8abeafcf (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@睡(プロフ) - 花浪さん» ありがとうございます！ (2020年9月27日 22時) (レス) id: 2e8abeafcf (このIDを非表示/違反報告)
ポテチうまぁ - これを一気読みしてしまってた自分が....ｱｯ自然ともう一回読もうとしちゃってる (2020年9月27日 15時) (レス) id: 335118f9cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寝夢@睡 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yukinemuri56/
作成日時：2020年6月21日 17時
