ろく ページ7
.
｢もう1回、打ちたいと思うよ。｣
｢……それならいいです。それが聞ければ、十分です。｣
ラストを託された旭さん、それを構えて見守るノヤっさん。バレーとは繋ぐこと。壁に跳ね返されたボールを誰もが諦めた瞬間、床からわずか2cm。ノヤっさんの手が、ボールを跳ね返した。
｢だからもう1回、トスを呼んでくれ！！
エース！！！｣
｢菅原さん！もう1回！！決まるまで！！｣
叫ぶノヤっさんの言葉に、少し迷いを出したスガさんの目線。旭さんが打つ気にならなければ、今トスを出しても意味が無いからだ。また負担を掛けてしまう、そう思っても仕方がなかった。けれど影山の言葉にひくりと喉を動かした旭さんが、必死でスガさんを呼ぶから。
｢スガァーーーーーッ！！！もう1本！！｣
｢っ、旭……！！｣
そんな旭さんの、エースの声にセッターが反応しないわけがない。ネットから少し離した、高めのトス。旭さんとスガさんの間で築き上げられた、旭さんの得意なトス。体育館中に響く大きなボールを打つ音に、全員が息を飲んだ。わっと湧く皆の嬉しそうな表情。泣いてる人間だっていた。俺も、大好きなあの場面を目の当たりにして、気付かぬうちに頬を涙が伝っていた。
｢いや〜〜、よくわかんないけど青春だったな〜。｣
日向のコンプレックスや嫉妬心を影山がとっぱらい、晴れて正式にコンビとして絆を残した試合は、原作通り町内会チームの勝利で幕を閉じた。
大人達に冷やかされているノヤっさんと影山は居心地悪そうに目線を逸らしている。
町内会チームに褒められて、烏養コーチに引き締められて。それぞれがそれぞれに話しかけているのをぼうっと見つめていれば、ぽん、と武ちゃんに肩を叩かれた。
｢どうでしたか、今日1日の見学を終えて。｣
｢はい。……凄かったです。青春ですね。｣
｢あはは、確かに今日は一段と皆さんの気持ちを見れた気がします。皆、これでスタート地点に立ちました。1週間後には合宿と、音駒高校との練習試合を控えています。……どうですか、皆と一緒にスタートしませんか。｣
武ちゃんの言葉は凄く嬉しい。勿論俺だって、推しと一緒に居たいという気持ちだけでなくボールを触ってみたい欲も出た。今日の見学は、バレーボールという競技に魅せられるには最高のものだった。
｢……俺、は。｣
｢なぁなぁ！お前バレー部入んの！？｣
｢へ、｣
突然ひょこりと武ちゃんと俺の間に出たオレンジ。日向だ、と理解するのに少し時間がかかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 213人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モブ - 今、更新はして無いんですか？すっごく好きな小説です！ (2020年8月20日 19時) (
レス) id: 66352f2bb5 (このIDを非表示/違反報告)
つむ狐(プロフ) - ゆきねこ。さん» ちまちまでも嬉しいです…！！いつまでも待ち続けます！！急かすような言動失礼しました…(汗) (2020年4月16日 0時) (レス) id: 3fb52abb2a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねこ。(プロフ) - つむ狐さん» ちまちまですが更新していきます！だいぶ亀ですがお待ちいただけたら幸いです〜！ (2020年4月16日 0時) (レス) id: 3dc1d9999b (このIDを非表示/違反報告)
つむ狐(プロフ) - めっちゃ面白くて好きです！もうこの小説は更新されないのでしょうか…？ (2020年4月15日 23時) (レス) id: 3fb52abb2a (このIDを非表示/違反報告)
あずき♪（チームあみ） - 失礼します 夢主が腐男子は神でした。すごい面白いです！！！頑張ってください (2020年3月11日 9時) (レス) id: ab8cadff73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきねこ。 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年2月3日 7時
