201号室の天使( 緑×橙 ) (ページ1)

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1.これはただの偶然ページ1

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君との出会いは偶然じゃなく必然で、俺らは「幸せ」を与え合わなきゃ生きていけない運命共同体やから。

せやから、もう2度と離れんでねって勝手に約束させて、布団に潜り込む。

隣で幸せそうに眠る、天使みたいな君の寝顔を見つめながら。

201号室の天使

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「...ありがとうございましたっ！」

もう今月だけで何度目かもわからない俳優オーディション。

今回は手応え無かったな。いや、今回"も"か____なんて、ため息交じりの帰り道。

自宅のオンボロアパートまでは、最寄駅から歩いて30分くらいかかる。でもまあいろいろ考え事していればあっという間の距離で。
目的地までは、もうすこし。

『人間って努力し続けてるとな、ある日突然天使がやってきて、願いを叶えてくれるようになるんよ』

俺が小学校入りたてのとき、ばあちゃんがそう何度も教えてくれた。

あんときはまだ幼くて意味なんか理解してへんかったけど、今こうして苦労する立場になってようやく噛みしめるようになった言葉。

自分が報われてないと思ったことは無い。寧ろ、好きなこと自由にさせてもらってるだけ幸せやと思う。

俺の努力が足りないだけ。もっと頑張れば必ず天使が舞い降りてくれるって。
毎日自分にそう言い聞かせながらアパートの階段をのぼるのが、もう日課になってもうてる。言葉を唱えてるだけで、生活は何ひとつ変わってない。

2階まで上がって、いちばん奥の部屋____201号室が俺の家。
フロアに漂うスパイシーな匂いは、俺が今朝作り置きしたカレーの匂い。
どうしても漏れてまうねんな、お隣さんごめん！って心の中で謝りながら廊下を歩く。

あと数歩で自分ん家。今日も早く寝て身体休めよって、ポケットから鍵取り出しながら玄関の前に立ったら......扉にもたれて座ってた。

誰、この人？
いや誰ちゃうな。多分、こいつ......

天使やわ。