真夏のお前は罪な太陽 ( 緑×橙 ) (ページ1)

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1. 元気印ページ1

(green side)

都内で番組の収録後、スタッフさん達とメンバー何人かで飲んでたら、お開き前に隣に座ってたマルと何となく流れで久々に2人飲みすることになった。まあせっかくやからってマルを俺ん家連れてきたのが始まり。

「こんな暑い日にこれしか出来んくてごめんな」

リビングのローテーブルには、鍋がぐつぐつとこの季節に合わない音を立てている。

「全然かまへんよ。美味しそうやし」

そう言ってマルが缶ビールを開けたから、俺も自分のを持ってプルタブを上げた。
乾杯って、本日2回目の台詞を揃えたら、2人で冷たい中身を喉に通してく。

「あー、ほんま最高やね」

「うんめっちゃ美味い。あ、鍋もいい感じやで」

大きな器の中ですっかりダシを吸い込んだ冷蔵庫の残り物達を、それぞれ自分の小皿によそう。

「最近どう？」

特別話すこともなくて何となく聞いてみたけど、「とくになんもないよ」ってマル。

「大倉はなんかあったん？」

その問いかけに、脳裏をちらついた嫌な影。
少しの間忘れかけてたことを思い出して、箸で掴んだ肉を口に入れられずにいた。

「...あー、なんか、ね」

うまく笑えていない俺を、はふはふ白菜食べてるマルが見つめて、

「なんか大変そうやん。どうしたん？」

って聞いてくるから、もうこの際全部愚痴っちゃおうかなって口を滑らす。

「いやさ、彼女がちょっとめんどくて」

言いながら肉を頬張る。

彼女とは、2ヶ月くらい前に付き合い始めた。
会員制のバーで出会って、俺から声かけたのがきっかけ...なんやけど。

「重いねん、最近。はじめはそうでもなかったんやけど、1日1回は電話しろとか女優とあんま話すなとか、色々言うようになって」

次は野菜を取って口に運ぶ。

「まあまだ2ヶ月やし、限界くるまで我慢せなあかんかな...って何やねんその顔」

さっきからずっと黙ってたマルがあまりにも間抜けな顔してこっち見てるから、思わず笑ってしまう。
そしたらはっとして、慌てて表情を戻したマル。

「っいや、大倉彼女おるんやなぁって」

うーん。みんな言わないだけで、付き合ってる人ぐらいいると思ってたんやけど…。

「マルは、おらなそうやな」

ちょっと意地悪く言ってやったら、

「うっさいなあっ、僕のことはええの！」

って、顔真っ赤にして拗ねるマル。やっぱ、おもろいなあ。

さっきまで何となく薄暗かった俺の心が、すっかり明るくなっている気がした。元気印のおかげやな。