格子から見上げる世界 弐 青×緑 桃×赤 橙×黄

No.58 ページ4

「はぁ…また、夜がくるな」



 

昨日の事を思い出し体が震える



でも、水揚げの終わった俺に

お客を取らないなんて選択肢はない

 


「準備せんとな…」

 

思い腰を上げて鏡の前に座る

 

あぁ…酷い顔やな

お化粧で誤魔化しきれるかな…

 

 

 

 

「本日はよろしくお願いしたします」

 
 

襖越しに挨拶をし中へと入る

 


「よっ！もんち」


 

「えっ…あっくん！？

どうしてん…」

 
 

「もんちの顔が見たなってん

やから遊びに来たんや

ほら、そんなとこおらんと、お酌してや」

 

 
おいでおいでと、あっくんにされる


そのまま隣りに座ると

よしよしと頭を撫でられる

 


「あっくん…ありがとう…ふっ…」

 

「あっ、泣かへんの

もんちが泣くと、俺が泣かしたって淳太くんに俺が怒られるんやから」

 

優しく涙を拭われる

 

「うん…あっくん大好き」

 

「ハハハ…

美しいって評判の緑翠にそう言って貰えて、男冥利に尽きるな」

 


なんて冗談を言い笑ってくれる


本当にあっくんには、感謝してもしたりひんな

もちろん淳太くんにも

 

俺があんな事になったから

今日はあっくんに俺を、指名するようにお願いしてくれたんやろな

 

俺は素敵な人達に囲まれてるんやな…

 

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