小さな足音 No.3 JW 青×緑

No.103 ページ3

『じゃ、ともくん座ってね、話をしていこう』



「よろしくお願いします、先生」



『さっきのエコーでも言ったけど、赤ちゃんはホントに問題なく成長してるよ、ヤッパリ少し大きめだけどね
それと内診で見た頚管長も問題なし、早産の兆候は今のところ無いよ』



「良かった…」


先生の言葉に安堵の声を漏らす



『で、ここからの話が本番なんだけどね
ともくんは男性であって女性でもある体だよね
だからね、骨盤がヤッパリ少し狭いかもなんだ
まぁ、背が低いって言われてるけど、女性として見るなら十分に高い部類に入るしね
下から産めない訳じゃ無いとは思うんだ』



「……先生まで俺の身長のこと言う…」



少し頬を膨らませて不満だと伝える



『ハハ…そんな顔しないでよ
身長のことはいったん置いておいて、お産の方法の話に戻そうか
ともくんの体は今回の妊娠できちんと検査して分かったけど、女性としての機能はきちんと備わってた
だから今の所は経膣分娩でって僕は考えてるんだ
ただ、ともくんの体がこれからどんな経過を辿るか分からないし、帝王切開って選択も頭に置いておいて欲しいんだ
何度も言ってるけど、やっぱり普通の妊娠とは違うからね』



「……はい」



先生の言葉に思わず『はい』としか返事が出来なかった



『ともくん脅かすつもりは無いんだよ
ただ、子供を産むってことは誰にでもリスクがあるって事を頭に入れて置いて欲しいんだ
でも、だからこそ命を産むって事は奇跡的で尊いんだけどね
そんな奇跡的な事がともくんの体の中で起こってるんだよ』



最後は笑顔で俺にそんな話をしてくれた先生

先生のそんな話に力を貰い、病院を後にする

No.104→←No.102

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す