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No.15 ページ15

「なぜ泣くんや、泣くな…
お前に泣かれると、俺はどうしたら良いのか分からへんくなる
それに泣くほど気に入らないなら処分すればええ」

 

「やっ…違うんです…グスっ…
嬉しくて、旦那様が私なんかのために贈り物をしてくださったやなんて
ありがとうございます…一生大切にします」

 


髪飾りの入っている桐箱を握りしめ、俺に礼を言ってくる


その顔には今までに見たことない笑顔が浮かびあがる

その笑顔は頬を伝う涙と相まり不均衡な美しい光を放っている


その美しさに胸が音を立てた気がする


それを誤魔化すように声を出す



「…気に入ったなら良かった
今日も疲れたやろ部屋に戻って休め
その…明日の朝食も楽しみにしてる
智子…」

 

「あっ…智子って…
あの旦那様、本当にありがとうございます」

 


もう一度丁寧にお礼を述べられる

そして胸へ桐箱を大切そうに抱きしめ部屋を後にしていく

 


「何やこの気持ちは…
信頼…安心…いやどれもしっくりせえへん」

 



そんな独り言を呟く
 

そんな時窓の外に輝く月が見えた



 

『月が綺麗ですね』

 
 

どこぞの文豪が言った言葉が頭の中を巡った


そして自分でも驚くほどすんなりその言葉が出てきた

 



「愛おしい…あぁ、正にやな」


 

初めて芽生えた感情に少し驚き

 

でもなぜか嬉しく感じながら、その日はしばらく月を眺めていた

 

 

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ぐでLove(プロフ) - 15辺りから同じ話が入ってます! (2020年7月2日 0時) (レス) id: cc32400ee4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルナ | 作成日時:2020年6月9日 15時

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