格子から見上げる世界 壱 青×緑 桃×赤 橙×黄

No.2 ページ3

俺がこの遊郭に来たのは6才の頃

 

父親が急の病で亡くなり

兄は街に働きに出て独立しており

年の離れた姉は嫁ぎ先が決まっていて

下にはようやく歩き出した妹と産まれたばかりの末の妹

 

 

 

母親を助けるためには奉公に出るしかないと

この身を売るしかないと…

 

母は泣いて申し訳ないと何度も謝っていたのを

幼い記憶として覚えている

 

 

 

 

 

 

「神ちゃん何考えてるんや

俺には何でも話してくれるって約束やろ」

 

 

 

「何でもないで

ただの寝不足や

それよりもあっくん、今日もまた珍しいお菓子持って来てくれるかな！」

 


 

 

笑顔を貼り付け話題を変える

 


 

「ホンマに神ちゃんは甘いもん大好きやな

しかもあんなお偉いさん、あっくんなんて呼べるの神ちゃんだけやで」

 

 

 

「やってあっくんがそう呼べって言ったんやもん

それに淳太くんもそれでええって言うたし」

 

 

 

 

「はいはい

神ちゃんには誰もかなわんな」 

 

 

 

そっと頭を撫でられ優しく微笑まれる

 

 

 

「無理はしたらあかんよ

俺らは友達やろ

こんな世界で出会ったけどな

俺は神ちゃんの事大切な友達やと思ってるからな」

 

 

 

 

「…ありがとうシゲ…

俺もシゲは尊敬してる先輩であって

大切な友達やで」

 

 

俺がニコリと笑うと一瞬複雑そうな表情を浮かべるが

いつもの笑みに戻り遅れるなよと言い残し出ていった

 

 

 

 

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