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私はひとらんの苦しそうな顔を見て、ふと昔の関係が頭の中でよぎる。
ht「Aお願い…」
ひとらんはそう言って自分の腕の中に私を収める。
次第にその腕は力を増していき、どれほど本気であることかなんて嫌でも伝わってくる。
『…ひとら、、ご主人様、離して頂けませ
ht「離さない」
…』
ひとらんの声に私は振り解けなかった。
ーー
ひとらんと私はこの国で言う幼馴染というものだ。
昔からずっと一緒。
けれど、昔はこんな関係ではなかった。
『ひとらーん！こっちこっち！木の上！』
ht「はぁ！？何してんの！？危ねぇから降りてこい！」
『えー…』
ht「そんなとこで怪我されたら俺が怒られるんだよ！」
そう、ひとらんは私の世話係だった。
ひとらんは謎の多い少年で、街で彷徨っていた所を私の家が拾い、2歳しか変わらない私の友達兼世話係となった。
しかしある日、この国はグルッペン・フューラーという男によって統治される。
そこからだ、私が彼のメイドに成り下がることとなったのは。
親の借金が見つかり、どうしようもない所にひとらんが私にメイドとして働かないかと声をかけてきたのだ。
ひとらんはというと、総統様とは知り合いらしく逆に幹部に成り上がった。
ひとらんは初めに、そのままの私でいい。と言ってくれた。けれど、メイドの立場はわかっていたのでそんな訳にもいかない。
そして、いつしか壁ができていた
ーー
抱きしめられ数分後、急にぽつりと何かが私の頭に触れる。
『…ひ、とらん？』
顔を上げようとすると、ぎゅっと頭を胸元に押しつけられる。
ht「…顔上げんな」
『…もしかして泣いてるの？』
ht「泣いてねーし」
そういう声は震えており、長年の付き合いでわかってしまうものだった。
彼が泣いてしまうほど、以前の私に戻って欲しいと思ってることに…
『ご主人様、私が戻ったところで我儘女になるだけですよ』
ht「それでいいんだよ」
『ご主人様、ひとらん様って呼ばなりますよ？』
ht「呼び方も敬語も気持ち悪いから早くやめて」
『…っ、ひとらんのばーか！って言っても怒らない？』
ht「それは怒る」
『えぇ？』
ht「ははっ、冗談だって」
『んもー…』
そんな会話をした後、顔を上げると、私とひとらんはお互い顔を見て笑った。
表面を見ると、彼の疲れた様子は消え幸せそうな顔をしている。
今日も私は彼を癒せた。
今日は彼も沢山の仕事をするのだろう。
私はそんな彼を今日も見守るのだ。
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雪村(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、コメントありがとうございます。emさんは1番優しい世界感を重視して書いたのでそう言って頂けて嬉しいです！ほんとですか、それは良かったです...！本当に最後までご愛読ありがとうございました。またどこかで出会えましたら嬉しいです...！ (2021年3月22日 12時) (
レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - みかげさん» みかげさん、コメントありがとうございます。わ、shoさんの作品を最高と言って貰えてとても嬉しいです！優しい心遣いもありがとうございます...！これからも楽しく投稿していきたいと思います！ (2021年3月22日 12時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - 伶奈さん» 怜奈さん、更新楽しみにしてくださいましてありがとうございました！それと同時に返信返せず申し訳ありませんでした。最後まで楽しんで頂けましたら幸いです…！ (2021年3月22日 12時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - emの短編とても素敵でした！短編ちゃうなってところひとつもありませんでしたよ！これからも楽しみにしてます！頑張ってください (2021年3月20日 21時) (レス) id: 0dab1fec32 (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - shoさんの短編最高でした！！今後の作品も楽しみにしてます！作者様のペースで、で大丈夫ですので頑張って下さい！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 7631caac1d (このIDを非表示/違反報告)
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