第42話 ページ45
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「……これをもって、A 都さんを即採用とします。」
ルイさんはそう言って、私に笑って見せた。
…うそ。
……採用って…つまり、合格ってこと？
「なっ！」
カメラマンさんや審査員の皆さんが、ルイさんの周りを囲む。
「どういうことですか！？それじゃあ、公開オーディションをやる意味が…！」
「大丈夫ですよ。都さんが合格したからと言って、他の方が全員落ちるという訳ではありません。
それに、やる意味はあったと思いますが…。あこさんの、所属していた事務所があこさんが行方不明になった際、何もしていない…なんて事が証明された訳じゃないですし。」
その発言で、辺りは騒然とした。
…この人…。どうしてそこまで詳しく…。
「じゃあ、続けてもらいましょうか。都さん、そして…連れの方も来ていただきましょうか。…では、皆さん。頑張ってください。」
と、ルイさんは笑っていた。
……この人は、何を考えているのだろうか。
私たちは、ルイさんの案内された部屋に入る。
そこは、MUSE座の稽古場のようだった。
「……驚かせて、ごめんなさい！」
…さっきまでのルイさんはどこへやら…。
ルイさんの雰囲気がガラリと変わった。
気弱そうな雰囲気を出している。
……さっきの、演技だったの？
「あの…都さんですよね？あこさんの娘さんの…。」
「あ、はい。そうです。」
そう言うと、ルイさんはパァっと表情が明るくなり、私に抱きついてきた。
…！？ルイさん！？
「……良かった。あこさんの親族の方は、誰一人会わせてもらえなかったので…あなたと会えて、よかったです！」
「……態度変えすぎ女。」
「ご、ごめんなさい！…あれ、実は演技なんです。…その、緊張すると、いつもああなってしまって。」
…やっぱり、あれは演技だったのか。
…にしても、幸はルイさんに対してもあだ名をつけるなんて、色んな意味ですごいな。
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作者名：アリスティー | 作者ホームページ：
作成日時：2020年4月9日 14時
