第40話 ページ43
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…あんな所で、和と会うなんて。
和は、私が劇団にいた頃、私を敵視していた。
私が立候補した役に、和は必ずその役を立候補した。
私が負けたことはなかったが、それでも和は強敵だった。
私が上達すると、和も上達していって…。
和は、私の演技の仕方を真似ることがほとんどだった。
和が…怖かった。
和が、いつかは私の演技の仕方を真似て、私の演技の上を行くことがあるのではないかと。
そんな事を考えてしまった時期がある。
「みやちゃん、大丈夫？」
「私…許せないの。私を馬鹿にしたのはいいの。でも、幸を馬鹿にして嘲笑ってた。和は…全然変わってなかった。」
…私を馬鹿にしたのは、確かにイラついた。
でも、他人を嘲笑うのは、違うのではないかと思った。
……怖い。
体が勝手に震えてしまう。
せっかく、ここまで来たのに、負けてしまったらどうしようかと。
そんな事を考えてしまう。
「都。」
「幸…？」
「自分らしく、頑張るんじゃなかったの？」
「……！そう、だったね…。ごめんね。すぐこんな風になって…。そうだよね…。勝ち負けじゃなくて、私自身が楽しまないと意味無いもんね。」
「そういうこと。」
幸といづねぇがいる。
…そうだよ。今は、私だけじゃない。
みんなが…ついてるんだから。
勝ち負けじゃなく、楽しまないと。
……たとえ、真似をされても…。
私らしいやり方で、私らしい道に進むって決めたんだから…。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
「……幸、これが終わって、もし受かったら、話があるの。夜、さくら公園で待ってる。」
…これが終わって、もし私が受かったら…話そう。
私の気持ち、届けられるように…頑張らないとな。
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作者名：アリスティー | 作者ホームページ：
作成日時：2020年4月9日 14時
