記憶 ページ15
A(ライダー)の話
「A、について、ですか？ええ、私が知っていることでよろしければ」
「そうですね、あの方と出会ったのは偶然、と言いますでしょうか。本当に偶然、ですが必然のようでした。」
「その歳の子にしては細くやつれて弱々しく見えました。魔術とは無縁だったはずのAは私を召喚したにも関わらず驚くことも怖がることもなく、ただ呆然と立ち尽くしていました。声をかけても必要最低限しか答えず、年相応はおろか大人しい、なんて言葉も当てはまらないくらいに静かで…まるで何も無い、人の形を象った抜け殻のようでした」
「話を聞けば満足に食事も与えられず、最低限の生活すら送れていないことはすぐに分かりました。親がいない身ならまだしも、Aには母親という存在も父親という存在もいたのにまるで愛されていなかった」
「だから私が母になろうと思ったのです」
「そうして接していくうちにAは少しずつですが人間らしくなっていきました」
「聖杯戦争の真っ只中ではありましたがそれは確かに『幸せな家庭』だったと思います」
「ええ、あの髪飾りは私がAに贈ったものです。私と同じ紫色、ということで酷く喜んで大切にしてくれていて…母としては幸せな限りです」
「嗚呼でも、そんな幸せも僅かな時間でした」
「やっと、やっとAが彼女らしさを得た直後、Aは殺されてしまいました」
「私を庇おうと前に出て、大きな光に貫かれて…あの時の鮮血も、雨と混ざった血なまぐささも、徐々に失われていく体温も、全て鮮明に覚えています」
「私を庇い、己の我儘だから責めるなと告げ、最期に私の幸せを願ってくれた彼女に、もう一度会いたいと思っていました」
「そうしてまた巡り会えたAは幸せな時間を忘れて…なんと可哀想な子なのでしょう」
「ですから私が、もう一度母になると、Aを愛すと決めました」
そうにこりと笑う彼女はどこまでも狂気を孕んでいた。
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暁(プロフ) - uruさん» わかりました！ご期待に添えるよう精一杯頑張らせていただきます！ (2020年5月1日 18時) (
レス) id: 447631ae83 (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - 特に要望とかはないので好きに書いてほしいです！ありがとうございます！ (2020年5月1日 10時) (レス) id: 8638e73a61 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - uruさん» ありがとうございます！自画自賛になりますが、私もエレちゃんのお話お気に入りなので嬉しいです！リクエスト、クーフーリンオルタの方で書かせていただきたいんですけど何かご要望などありますでしょうか？ (2020年5月1日 6時) (レス) id: 447631ae83 (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - エレちゃんとのお話が大好きで、ちょっとじわっと来ました！リクエストなんですけどアルジュナかクーフーリン【オルタ】と女夢主のお話を書いてくれませんでしょうか。お願いします！ (2020年4月27日 0時) (レス) id: 8638e73a61 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - あのんさん» ありがとうございます！承りました〜。少しお時間がかかってしまいますが気長にお待ち頂けると嬉しいです…！ (2020年3月24日 19時) (レス) id: 447631ae83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁 | 作成日時：2018年4月3日 21時
