42話 後悔 ページ46
◆◆◆
崩れるように落ちていく少女の体を彼は抱きしめるように抱え上げる。
＿＿やめろ。その汚い手で触るな。
それは自分も同じだが、少女に触れている彼の手を見ていると怒りでは無く憎悪が生まれてくる。
鶴丸の体を抑えている大太刀の遡行軍を感情に任せて蹴飛ばす。
「このっ……！」
だが大太刀は少し揺らいだだけだ。
それだけでも充分だった。
その隙に鶴丸は刀を抜き斬りつける。余程鋭い一撃だったのか大太刀は歪んだ叫び声と共に消えていく。
「きみ……！」
鶴丸は少女へと手を伸ばす。
＿＿頼む、行かないでくれ。
きみがいなければ俺は……！
だがそれを阻もうと短刀の遡行軍が次々と襲ってくる。
「邪魔だ！！」
鶴丸は凄まじい速さで刀を振るう。
一気に五体の短刀が消えていく。
「遅い」
すぐ背後で彼の声が聞こえた。
しまったと鶴丸が思うよりも早く彼は刀を振り下ろした。
「……っ！」
受け止めはしたが、圧倒的に彼の力の方が大きく吹き飛ばされる。
ドン‼と強く木の幹に打ち付けられ、全身に痛みが広がっていった。
「カハッ……！」
呼吸が荒くなりカランと刀が手から離れていく。
顔を上げると彼は少女を抱き上げたまま、木々の奥へと去って行くのが見えた。
それに連れて遡行軍も後について行く。
「ま、て……」
追わなければならないのに体が言うことを聞かない。
視界がぼやけ、意識を手放しそうになる。
＿＿駄目だ。アイツを追わないと。
だって、まだ何もアイツに伝えてないじゃないか。
体が動かないのは敗北感や屈辱、後悔のせいだろう。
それに今行った所で何になる。
少女は彼の手元にいる。少女を傷つけずに彼と戦うのは無理がある。
少女の願いを踏みにじることになる。
こうなったのは全て、己のせいではないか。
あぁ、でも
＿＿行かないでくれ。
きみがいなかったら俺はどうすれば良いんだ。
きみがいない世界こそ、つまらない故に死んでるのと同じじゃないか＿＿。
鶴丸は手を伸ばすが、空を掴んだだけだった。
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サビナ(プロフ) - ここあぷりんさん» ここあぷりんさん初めまして！小説を読んで下さりありがとうございます。ただいま続編を作成中ですのでもうしばらくお待ちくださいm(_ _)mこれからもよろしくお願い致します。 (2018年1月5日 23時) (
レス) id: 2bf17c144c (このIDを非表示/違反報告)
ここあぷりん(プロフ) - 最後んとこで目からポカリ出てきたんだけど。え、もう鶴丸に会えないのこの子。やだ何それ(((謎の男…叩き斬りてぇ( ) (2018年1月5日 20時) (レス) id: d0be1279ae (このIDを非表示/違反報告)
サビナ(プロフ) - あやかさん» あやかさん初めまして！小説を読んで下さり、嬉しいお言葉までありがとうございます。最後辺りは一番頑張った部分なので、褒めて頂けてとても嬉しいです…！これからもよろしくお願い致します。 (2018年1月2日 14時) (レス) id: 2bf17c144c (このIDを非表示/違反報告)
サビナ(プロフ) - 晋陽さん» 晋陽さん初めまして！小説を読んで下さり、嬉しいお言葉までありがとうございます^ ^これからもまったり頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2017年12月30日 10時) (レス) id: 2bf17c144c (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 切ない感じがまたいいｯ！←更新がんばってください！ (2017年12月30日 9時) (レス) id: 8ef45f8c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nean＝サビナ | 作成日時：2017年10月12日 21時
