プロローグ ページ1
空を見上げると真っ黒な雲から雨が降ってきた。まるで空が泣いているようだ。
泣いているのは自分だというのに＿＿。
降り続く雨のせいで頬を伝う雫も涙なのか分からない。
水たまりには血で真っ赤に染まった己の姿が見えた。
＿＿そう、これは時間遡行軍の返り血だ。だから焦る必要など無い。ない筈なのに＿何故……
「……ぁぁぁ……！」
＿＿何故自分は泣いている？
＿＿何故自分だけが生き残っている？
＿＿何故仲間である彼らが
「……」
「これで分かったでしょう？鶴丸国永」
目の前にいる彼が仲間を殺した筈なのに刀を持つ手が動かなかった。
操られているわけでもない。勿論、彼を憎んでいる。
怨恨と憎悪が自身の中でぐるぐると渦を巻いている。
「歴史を守る意味などないのです」
そう、意味など無かった。
以前、戦場で彼と話したことを思い出した。
『何故歴史を守っているのですか？』
＿＿守りたいものがあるからだと答えた。
『守ることに何の意味があるのですか？』
＿＿意味など無くても、守り戦い続けることが人の体を借りてまで存在している理由だ。
『今この瞬間が作られてしまった時だとしても？』
＿＿あぁ、そうだ。今の主のためなら何だってするさ。
『やはり貴方も分かっていないのですね』
＿＿何の話だ？
『そう考えるなら貴方もこちら側ということです。私達だって好きで戦っているわけではない』
＿＿あぁ、そうだった。そんなことを言ってた時もあったな。
「疲れたでしょう？無意味な戦いをするのは」
今の彼が言った。
「まやかしのように聞こえていても仕方ないですね。ですが、貴方はこの先どうするのです？信頼していた主人に裏切られた結果がこれだというのに」
「……」
「貴方と私も所詮、人間に利用されていたに過ぎない」
「＿＿黙れ」
彼の言っていることが全てを知ってしまった今、否定出来ない。
「あぁ、そうだな」
独り言のように呟き、もう一度真っ黒な空を見上げた。
視界を遮り振り続ける雨は今の自分のようだ。
「俺は＿＿」
何のために戦っていたんだろう。
目蓋を閉じれば、体が落ちていく感覚になった。
それは深い深い場所に沈むように＿＿。
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サビナ(プロフ) - ここあぷりんさん» ここあぷりんさん初めまして！小説を読んで下さりありがとうございます。ただいま続編を作成中ですのでもうしばらくお待ちくださいm(_ _)mこれからもよろしくお願い致します。 (2018年1月5日 23時) (
レス) id: 2bf17c144c (このIDを非表示/違反報告)
ここあぷりん(プロフ) - 最後んとこで目からポカリ出てきたんだけど。え、もう鶴丸に会えないのこの子。やだ何それ(((謎の男…叩き斬りてぇ( ) (2018年1月5日 20時) (レス) id: d0be1279ae (このIDを非表示/違反報告)
サビナ(プロフ) - あやかさん» あやかさん初めまして！小説を読んで下さり、嬉しいお言葉までありがとうございます。最後辺りは一番頑張った部分なので、褒めて頂けてとても嬉しいです…！これからもよろしくお願い致します。 (2018年1月2日 14時) (レス) id: 2bf17c144c (このIDを非表示/違反報告)
サビナ(プロフ) - 晋陽さん» 晋陽さん初めまして！小説を読んで下さり、嬉しいお言葉までありがとうございます^ ^これからもまったり頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2017年12月30日 10時) (レス) id: 2bf17c144c (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 切ない感じがまたいいｯ！←更新がんばってください！ (2017年12月30日 9時) (レス) id: 8ef45f8c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nean＝サビナ | 作成日時：2017年10月12日 21時
