苛立ち。 ページ5
椿side
今日は、勝手にうぐちゃんの名を名乗り、シナリオを壊す、迷惑極まりないモブに一言言ってやる日だ。
さっきからずっと待っているけど、全く来ない。
もう放課後なのに。
腕を組んでみる。
｢…｣
無意識のうちに足をパタパタとさせてしまう。
｢…｣
来ない。
空き教室の中をぐるぐる回ってみる。
来ない！
｢あーもうっ！｣
扉の前で再び腕を組む。
しばらくすると、やっとモブが来た。
｢失礼しまーす…｣
｢遅い｣
控えめに入ってきたモブは、私の方を見ると困惑したような表情を浮かべた。
それを無視して話し始める。
｢ねぇ、貴方、調子乗りすぎ｣
｢…はぇ？｣
私が睨みながら言うと、まるで予想していなかったというような間抜けな顔をした。
｢貴方、うぐちゃ…鶯じゃないでしょう？｣
｢え…なんで、｣
モブは驚いたような顔をした。
その反応は嘘をついていたと思っていいだろう。
｢貴方みたいなモブがまさにヒロインに相応しいあの鶯な訳ないじゃない！｣
私がそう叫ぶと、モブはピシッと固まってしまった。
まさに図星で、反論ができないのだろう。
｢えーっと…その…｣
とまごついている。
これは勝った。
｢これからは、もう二度と鶯の名を名乗らないで！｣
圧をかけて言うと、モブは必死にコクコクと頷いた。
｢後、変に目立つようなことしないで頂戴｣
これから私が潰されるシナリオを変えられたら困るんだから、と小さくつぶやく。
｢…えぇ?!ちょっと待って、今なんて？｣
さっきまでの反応とは全く違い、いきなり食いついてきた。
瞬時に自分が置かれている状況を理解し、内心焦り始める。
なるべく冷静を装って答えた。
｢はぁ？変に目立つようなことしないで頂戴って…｣
｢そのあと！｣
モブがグイッと詰め寄る。
やばい。
ついやらかしてしまった。
このままだと私がこの世界に転生してきたことがバレて、絶対に馬鹿にされてしまう。
｢…何も言ってない｣
思わず目を逸らしてしまう。
さぁ、どうしたものか。
頭をフル回転させて言い訳を考えていると、思いもよらない言葉が聞こえた。
｢実は私、この世界に転生してきた、歌い手ファンなんだけど…｣
｢…へ？｣
ロリ神からそんなこと聞いてないんですけど！
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りま - とっても面白いです！更新頑張って下さい！ (2020年3月11日 1時) (
レス) id: 22869f63e7 (このIDを非表示/違反報告)
だいふく。(プロフ) - ましゅ。さん、コメントありがとうございます！皆さんのコメントがやる気の1番の元になるので、とても嬉しいです！これからも更新頑張らせていただきますm(_ _)m (2019年1月15日 19時) (レス) id: 40700e07b1 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ。 - 一番好きな作品です！ 更新頑張って下さい！ 応援してます！ (2019年1月14日 17時) (レス) id: 84c68b407c (このIDを非表示/違反報告)
だいふく。(プロフ) - ほしなさん、コメントありがとうございます!!サボってないで更新するので応援お願いしますm(_ _)m (2018年12月1日 18時) (レス) id: 40700e07b1 (このIDを非表示/違反報告)
ほしな - すごい！応援してますこれからも！！ (2018年11月30日 17時) (レス) id: 0590ce9a8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：だいふく。 | 作成日時：2018年11月3日 15時
