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七振目「愛刀復活」 ページ9

………刀の修復を始めてもうどれほどの時間が経っただろうか、少なくとも昇っていた日は沈み辺りは暗くなっていた。

鶴丸は結界を張っているとはいえ何が起こるかわからないと警戒を怠らずにいてくれている。

こんのすけは私と妖精が刀を修復する作業をじっと、ただ、何も言わず見つめていた。

炉の温度の調整、鉄の溶け具合、どれもこれもが一つ間違えば全てやり直しの繊細な作業、息の詰まる様な時間は続いた。

そして朝日が昇る頃、その時は訪れた。

貴「…っ、でき、た…」

私の手に握られた、一振りの短刀。

元通り、いや、寧ろそれ以上に磨きあげられ、煌めきを取り戻した刃は喜んでいるかの様に朝日の光を反射して輝いていた。

恐る恐る鶴丸の方へと振り返る。

鶴丸は私の手の中にある短刀を暫くじっと見つめると、ふ、と笑った。

鶴「初めの時よりも丁寧に気持ちを込めて打たれてその刀も喜んでる、さ、そのまま刀に閉じ込めておくのも可哀想だ、顕現してやるといい」

貴「顕現…?」

こ「審神者様!顕現というのはですね、刀剣の中に宿る付喪神を実体化させる事にございます!審神者様のお打ちになられたその短刀にも付喪神が宿っておられます!故に顕現が可能なのですよ!」

この刀の…私の愛刀の…付喪神…

貴「顕現する方法は?」

こ「はい!此方の台に顕現させたい刀剣を置いて、審神者様はその台の前へ座り、柏手を打ち、刀剣男士様をお呼びするのです!」

こんのすけがすすすっと台を私の前へ押してくる。

私はその台の上へ短刀をそっと置いた。

そして少し距離を取りその場に正座をして座る。

後ろでは鶴丸とこんのすけまでもが姿勢を正してその瞬間を待っていた。

ぱんっ、と乾いた柏手の音が部屋に鳴り響く。

目を閉じて短刀に語り掛ける。

貴「私のせいで一度貴方は折れてしまった、そんな腑甲斐無い私に貴方を呼ぶ資格があるのかなんてわからない、けれど少なくとも私は貴方が大切、ずっと、ずっとこれからも一緒に居たい、もし、もしも貴方がこの呼応に応えてくれるのならば、私も今度こそは貴方を護り、共に在ると誓いましょう、…おいでませ、我が愛刀、「黒鳥 舞鶴」の付喪神様」

途端、部屋を埋め尽くす程の桜吹雪

思わず目を閉じる。

桜吹雪が落ち着いたかと思い、ゆっくりと目を開けると、はらはらと舞い落ちる桜の花弁の向こうに、一人の人が佇んでいた。


〜〜〜〜〜
自分の創作刀剣名のセンスの無さに絶望()

八振目「やっと出逢えた」舞鶴side→←六振目「いざ、刀剣修復」



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作者名:蝉時雨 | 作成日時:2019年9月15日 15時

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