OH-EH-OH Blight ver. (ページ3)

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「うわぁ・・・っ」

純喜の声が聞こえた。

落とされたのか?

もう、ダメだ。

息を切らして駆け付けると、碧海が純喜を抱きこんでいた。

助かったのか・・・

だけど、見上げると・・・

あの日兄貴が落ちた足場に、立っている黒づくめの男。

その目は・・・間違いなく・・・

見間違うわけなく、おれとそっくりだといわれたあの目だった。

兄貴にとっては二度と行きたくない場所なはずなのに。

いや、まだ、そこから動けないのか・・・?

そんなに恨んでいたのか? オレたちを・・・

だからといって、突き落とすなんて・・・

それにダンサー狩りとか・・・なんなんだよ!

だけど純喜は

「あぁ、落とされるんか～、それで気ぃ済むんやったらええわ、って思った。めっちゃビビったけどな。それに・・・兄ちゃんは迷ってる目ェしてたな」

そう言ってちょっと笑った。

・・・

それから、ダンサー狩り事件はぱたりとやんだ。

そう思っていたある日、部室に石が投げ込まれ・・・

窓の外を見ると・・・

結局、狙いはおれたちってことか。

回りくどいことするんじゃねえよ・・・

許せない・・・

オレの大事な仲間を巻き添えにしたこと。

一度は踊ることを辞めたオレたちに踊る楽しさを思い出させてくれた。

仲間と踊ることの楽しさ、喜び。

あんたが一番知ってたはずなのに・・・

そして、この泥の中でひとり逃げたことも・・・

「おい! 逃げんじゃねえよ!」

ずっと言いたくて言えなかった言葉。

兄貴の背中にも、自分の胸の中にも。

あれから、本当に心の内をぶつけ合ったことがなかった。

傷つけるかもしれない、そんな風に思ってばかりで。

それは、おれも逃げていたんだ。

一度だって兄貴の本当の気持ちを聞こうとしただろうか・・・

．．．

追いかけはしなかった。

この声は届いたはずだから。

そして、自分の足だけでまた歩き始めたのを見届けたから。

いつかきっと、一緒に踊れる。そう思えた。

オレたちのストーリーは始まったばかりだ。