猫の気まぐれ3【イナズマイレブン】 (ページ34)

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113話ページ34

ミーティングルームのドアに後頭部をつけて二人の会話を聞く

俺の行動に文句をつけてきた佐久間クンはなんだかんだ同じようにドア前に立っている

お前も大概だろ

「で、なんだ。俺だけに聞きたいことがあるんだろう？」

『鬼道は影山のこと、どう思ってるの？』

猫村が鬼道に聞きたかったのはそれか

俺は事実さえあればいいと思っているが

『私は正直に言うと自分が分からない』

『親として見てきたあの人がやって来たこと、悪事を書面上では見てきた。そしてそれを許せないことだと、受け止めてきたはずだった』

『だって本当の両親を殺した殺人犯と同じようなものだから。でも今回、直面したとき。私は受け入れ難いと思ってしまった』

『私が知ってるあの人じゃない。違う人なんだって。そう、解釈しようとした自分がいたと思う。私はあの人に肩入れしてる節がある』

猫村の独白に佐久間が反応した

俺と佐久間を出したのは"肩入れしてます"って言う気にはなれなかったからだろうな

猫村の気持ちは鬼道が一番近いだろう

鬼道も本人に自覚はあるのか分からねぇがそういう節がある

影山のこと、俺と佐久間はもうそういう気持ちもなく妙な思い入れもないしな

『離縁までしたのにね。それなのに育ててくれたあの人を信じようとする自分がいる』

『あの人に潰された人は沢山いる。その事実だけが私の執着を解いている…酷い人間だ。被害者がでないと信じられない』

『あの人がしてきたことを考えればあの人の全てを恨むべきだろうに』

あ？ちょっと待て

アイツの視点で言えば恨まなくていい部分もあるはずじゃねぇか

手術のこととか一緒に生活したこと、大切な思い出のように語ってただろうが

それも恨まないといけねぇって思ってるのか？

猫村は別に盲目的に影山を恨もうとも、信じようともしてねぇはずだ

親の事件と悪行について恨もうと、育てられたことから信じようとしている。それは合っている

ただ真反対の心理が同居してるからおかしくなってんじゃねぇの

…アイツ、普通に見えるが結構混乱してそうだな

「それは違うと思うぞ」

『え？』

「あの人は勝つことに手段を選ばない、許せない奴だ。だがあの人は憎悪と共にサッカーを愛している。それを俺は知っている」

「それと同じようにお前はあの人の、人に対する気持ちの違いを見ただけじゃないのか」

「お前達を大切にする親心と素晴らしい選手を潰そうとする悪心を」