107話 ページ28
「おうおう！どうしたお前達！何かあったのか？」
間に入ったのは土方っぽい。綱海と土方は安定的なお兄さんポジにいると思う
うちの兄さんもお節介やきなところがたまにあるし兄ってあんな感じよね
そういや鬼道も春奈の兄だよな
土方と綱海と兄さん、鬼道…この二組、グループに分けられるわ
「不動の背中を流そうとしたら嫌がられてな」
チッ、今まで別々に入ってた奴が急によぉ
「あいつら、いつの間に仲良くなったんだ？」
「まぁ影山関係でいろいろとな」
「おい、そこ！俺は別に仲良くなった訳じゃねぇぞ！」
鬼道と土方が話しているところには訂正を入れた
仲間認定かよ
今のところ馴れ馴れしい奴は一人で手一杯なんだよ
ところどころ聞こえなかったけど佐久間が不動の背中を流そうとして不動が嫌がったんだろう
なんか、いいなぁ
私も男だったらあの輪の中に入ってたのかな
あの人のことで考えてることも打ち明けられたのかな
表面的には鬼道も佐久間も不動も私を敵とは認識してないようだけど真相は分からない
裸の付き合いって結構大きく人間関係変えるからもし性別が同じならみんなとの関係性も違ったのかなって思ってしまう
結局、思考回路は同じであの人のこと関係になったな
やっぱり、今は頭がなんでもかんでもあの人に結び付けてしまうのだろう
これ以上此処にいても逆上せるだけだな
湯船に浸かないように結っていた髪を下ろし、適当にまた体を流して浴室を出た
「あれ？今女湯から音しませんでした？」
壁際にいた虎丸の言葉に壁山と栗松、その他数名が赤くなった
「え？マネージャー達とはなるべく時間ずらしてますよね」
「それなら雪夜じゃないかな。いつもならマネージャーと一緒にいるけど今日は先に食堂から出ていってたよ」
「猫村もマネージャー達に先に入れって言われたんじゃないか？」
「じゃあ今までの全部聞かれて…」
ノリノリで話していた数名、顔を青ざめた
「ま、そうだろうな」
ブクブクとタオルでクラゲをつくる綱海があっけらかんと言う
「綱海さん分かってたんスか？」
「だったら速く教えて欲しかったでヤンス！」
「まぁ落ち着けよ。異性に話を聞かれたのは恥ずかしいだろうし気持ちはわかるけどよ」
土方が慌てる奴等を押さえると綱海は一言
「え？いや知らなかったけどよ、こんな悩みも海と比べたらちっぽけな話だぜ！」
わははは！という綱海の声だけが男湯に響いたという
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作者名：ヌラ | 作成日時：2022年3月6日 16時
