溺れる想い[Fischer's] (ページ22)

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意志ページ22

必死に走った。

まだ日が昇りきってなくて少し肌寒い空の下を

別にそこでアキラに捕まったところで
多分殺されたりはしない。

だけど人に依存して生きる生活はなにも生まないと学んだから戻りたくなかった。

両手の自由がきかないと何度も転びそうになる。

きっとアキラは目が覚めた時に私がいないと探しにくるだろうから携帯の電源は切ったまま走り続けた。

車で探しにくらと思うので、車が通れなくて道路からの見わたしの悪い川沿いを走った。

目指すのはマサイくんとシルクくんの住むマンション。

こんな朝から行くなんて申し訳ないけど
そこしかなかった。

様々な恐怖に怯えながら走り続けると誰かとぶつかりそうになる。

『ひゃっ！ごめんなさいっ！』

…これが…
今目の前にいるのがアキラだったらどうしよう。
恐る恐る顔を上げると

シ「Aじゃん、こんな朝からどうしたの、おしゃれな腕輪しちゃって」

ランニング中のシルクくんだった。

彼の顔を見た瞬間何かが途切れたのか
涙が溢れてくる。

私は途切れ途切れになる言葉で精一杯伝える

『昨日…仕事終わりに帰っていたら…元カレに襲われて…っ…手錠付けられてさっきまで閉じ込め…っられてた。』

シルクくんはずっと私の目を見ながら聞いてくれていた

シ「逃げてきたんだな。偉いぞ、それ鍵はあるのか？」

私の頭を撫でながら手錠を見る。

ポケットに鍵が入っていることを伝えると
シルクくんは手錠を外してくれた

手が自由になって少し心に余裕が出てきた。

シ「俺らの所に逃げる予定だったんだろ？ほら行くぞ。
Aの勇気ある行動を称えねぇとな」

シルクくんは手錠を思いっきり踏み潰して川沿いのゴミ箱に捨てた。

そしてまた走り出した。

日はもう昇り始めて
道を照らしていた