溺れる想い[Fischer's] (ページ21)

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次に目を覚ました時、アキラは隣で寝ていた。

4年も一緒にいたからか
こうやって寝顔は可愛い。とか少しでもそんな風に思ってしまう

外は少し明るくなっていてどうやらまだ早朝の様。

今のうちに逃げ出せば…なんて考えるけど
この手はどうしたら？とか私のスマホは…とか
うまくいかない。

ア「なにしてるの…」

眠たそうに話しかけてくる

ア「逃げようとしないで。まだ朝もう少し寝るの」

そう言ってアキラは私を抱きしめまた眠る

このまま彼に甘えて生きていくか、少し思ってしまった。
私の人生には他に道がない。この人しかいないんだ…

そうは思えなかった。
シルクくんの優しい笑顔を思い出す。
私を仲間と言ってくれたみんなを

このままじゃまずい。
こんな生き方もう嫌なんだ。
私はそう固く決心した。

彼は一度寝るとあまり起きない体質。
どうにかもう少し眠ってくれれば。

私は横になったまま周りを見渡す。

玄関の棚の上に私のスマホと見慣れない小さな鍵があった。
カバンは布団のすぐ近くにある。
薄手のアウターも近くにある。

頭の中で何度も何度も思い描く。

どの順番でなるべくスムーズに音を立てずにここから出よう…

途中でシルクくんとの会話を思い出した。

シ「一番大事なのは強い意志だと思うんだ。」

『意志？』

シ「自分を変えたい！って思ったり、そうゆうこと。それを一番大事にすれば後はどうとでもなる。仲間に頼ったりな、」

何回めのイメージトレーニングをしただろう。

アキラはいびきをかき出して、
寝相が悪いので私を抱きしめていた手も解けた。

今だ。
そう私は思った

人間自由に手が使えないことがこんなに辛いなんて思わなかった。

アウターは袖が通さないので手で掴みカバンもそっと持ち上げる。

玄関の小さな鍵とスマホをポケットに入れ静かにドアを開ける

強い意志があれば…
後はどうとでもなる…
だって今の私には

『頼れる仲間がいるから』

小さく呟き、家から出て走り出す。

変わりたい。

どこにいくかはもう決まっていた。