溺れる想い[Fischer's] (ページ2)

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モ「そっかーAちゃんは4年間付き合ってた彼氏さんにフラれちゃったと…」

『なんかフラれたって言われ方はいやかも。』

モトキくんは初めてあったのにもかかわらず、わたしの話をずっと聞いてくれていた。

はじめは厄介な酔っ払いかな？なんて思っていたけどお酒の匂いはしないし、本当に優しかった。

モ「つまりAちゃんは元気がない。」

『ない。』

モ「今日何か用事があったりする？」

『今日…？』

すでに日付が変わっていたが、アルバイトは週が明けるまで休み。週末の予定も特になくてむしろ困っていたくらいだ。

『何もない。むしろ暇なくらい』

手のひらで残りわずかになったココアをコロコロと転がしながら伝えると

モ「ちょっとまってて！」

と言いながら携帯を取り出した。どうやら誰かに電話をしているらしい。

モ「あー。シルクー？うん。ごめん遅くて。お客さん連れて行っていい？変なのじゃないよ。平気。じゃあ今から行くね」

…何か一方的に進んでいる気がするけど。
モトキはどうやらシルクという男性と電話をしていたみたい。

モ「辛いことがあった時はワイワイするのが一番だよ。てことで…Aちゃんを今から誘拐します！」

『そっかー。いいよー。』

モ「えっ…思ってた反応と違う…」

誘拐します！なんか言われて着いて行くのもどうかと思うけど、話してて落ち着く人。もっと話していたい。そうゆうことが頭にいっぱいだったのだ。

『でもどこに行くの？』

私は立ち上がったモトキくんを見上げる

モトキは、んー…と言いながらニコニコして

モ「俺らの家！」

そう言いながら私の手を引いた。

モ「転ばないでね、Aちゃん」

そうして二人で歩き出した。
途中のコンビニでAちゃんのお酒も買っていこう！なんてそんな話をしながら。

モ「とことん話聞くから！！」

その言葉だけでしばらく仕事以外で人と関わることもあまりなく、友達も少なかった私の心は溶け始めました。