溺れる想い[Fischer's] (ページ1)

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はじまりはページ1

『おつかれさまでした。お先に失礼します』

今日もアルバイトが終わった。

着替えながら、ふと携帯の通知を確認する。

【LINE】
アキラもう限界。別れよう。

『はぁ…そーですか』

大きなため息をつきそのままLINEを閉じる。
こうしてわたしの4年間の交際は幕を閉じたのである。

着替えを終え外に出ると、雪が降っていた。
暦の上では春になり桜も咲き掛けている。

『さむい…』

だけどなんか帰りたくはなかった。

わたしは帰り道にある小さな公園のベンチに腰を下ろす。
夜桜と雪。
関東に住んでるわたしからすると見たこともない光景でどこか違う世界に迷い込んでしまった気分だ。

『4年も付き合ってこんな簡単に終わるのかあ。』

彼氏とは学生時代に付き合い、ずっと交際をしていたが去年の秋に就職のため地方に引っ越して遠距離恋愛になっていた。

月に1.2度の頻度で遊んでいたけれど、最近は連絡がつきにくく、忙しいのはわかっていたけど我慢できなくなって怒ってしまったわたしにも責任があった。

耐えきれなくなり涙を流してしまう。
なによりも独りになったことへの不安が大きかった。

？「…？どうしたの？どこか体調悪いの？」

背後から声を掛けられ、萎縮してしまう。
恐る恐る振り返ると
優しい笑顔の男の人がいた。

彼はわたしが泣いている方に気がつくと
一瞬驚いた顔をして、すぐまた優しい笑顔に戻った。

？「こんなところにいたら風邪ひいちゃうよ？
一人で泣いたって辛いだけだから…知らない人の方がはなしやすいかもしれないよ。
あ、俺ね、モトキっていうんだ。」

普通深夜に外で声を掛けたら警戒心むき出しにしたらそのまま逃げ出すのが普通かもしれない。
だけどわたしは疲れや喪失感で自暴自棄になっていたのかもしれない。

モ「あ、さっきねー。自販機で飲み物当たったんだよひとつあげるよ」

そういうとモトキは暖かいココアを渡してくれた。
暖かさにまた涙が出てしまった。

『ありがとう…ございます。それにごめんなさい…』

モ「ごめんなさいよりも君の名前が知りたいかも。だめ？」

『わたしは……』