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遊園地からの帰り道。
電車に揺られながらずっとしげのことを考えていた。
私の隣にはしげ。
その隣は菜奈。
私の視線はずっと自然としげに向いていた。
私、しげのこと・・・
好きなのかな_________________
しげに告白されなくなった時、すごく悲しかった。
寂しかった。
しげに「好き」って言われて、すっごい嬉しかった。
しげにキスされても、嫌だなんて思わなかった。
むしろ、嬉しかった。
告白も、キスも、
全部、全部無かったことにされたなんて信じられない。
信じたくもない。
信じない。
しげは私の視線になんて気づかない。
イヤホンしてて、スマホ見てるからだろうなって思うど、
それでも、
しげとの間に壁ができてる感じがして。
「・・・しげ?」
呼びかけても、反応しない。
「ね、」
今度は腕、ツンツンしてみた。
「何?」
やっと気づいてくれた。
でも、「何?」って・・・
しかもスマホから視線を離さずに。
いつもだったら、目あわせて「んー?」とか、「どしたーん?」とか聞いてくれるのに。
「えっとさ、今日、楽しかったね。」
「やな。」
「しげはお土産、何買ったの?」
「お菓子。」
「家族に?」
「そ。」
「へ〜しげって、兄弟いるの?」
「姉貴。」
「お姉さんか〜きっと美人だろうな〜」
・・・嫌われちゃったのかな。
会話は途切れたまま。
再開しそうな感じもないし。
なんでだろうな。
もう、しんどいよ。
あれ?
おかしいな。
しげが私のことを追いかけていたはずなのに、
気づけば私が、しげを追いかけてた。
しげの本気の気持ちなんて考えずにいた、私が悪いんだよね。
追いかける番になって気づいたんだ。
好きな人の背中はこんなにも遠くて、
追いかけるのはすごく苦しいってこと。
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作者名:まるえだまめいんげん | 作成日時:2022年10月4日 16時