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「では、いってらっしゃーい・・・」
演技なのか素なのか、愛想の悪いスタッフさんに送り出され、ついに怪しげな屋敷に足を踏み入れた。
はじめからずっと奇妙な叫び声みたいなのが響いてて気持ち悪ぅ・・・
「ばぁ！！！」
「うぎゃっ！
・・・ねーもぉ何？！しげ！！」
「ごめんごめん笑」
「もぉ！！！」
「なぁ、俺さ・・・、」
「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」
びっくりしたー！！
畳がギシギシィって言ったぁ！！！
いやぁぁぁぁぁ！！
しげがなんか言ってた気がしたけどそれどころじゃないよー！
「助けて・・・・・・」
「ひやぁ！！！」
「ウケる笑
怖がりすぎやて笑」
「ﾐｼﾐｼ・・・ﾋｭｩｩｩｩｩ」
「いやぁあーーー！！」
「うぉ、ちょっ、腕掴みすぎ！」
「はぁ・・・もう終わりかな・・・？」
・・・しげが私をずっと見てる。
「・・・ん？どした？」
「・・・A」
しげの瞳が、近づいた、
と思った時、
私の唇に柔らかいものが触れた。
それがしげの唇って気づくのに時間はかからなかった。
しげが離れて行くまで、体感10秒。
お化け屋敷という空間には不似合いな暫しの沈黙が、響いた。
「え、あ、えっと・・・」
沈黙に耐えかねて口を開いた。
隣を覗き込むとそこには、顔を真っ赤に染めたしげ。
周りには誰もいなくて、それに薄暗いから、私たちの姿は見られてないみたい。
「好き。」
出ました。本日2回目の告白。
でも、やっぱり、なんて答えたらいいかわからなくて。
曖昧な空気のままお化け屋敷を出た。
その先のベンチには、すでに3人が座ってた。
「なんや遅かったなぁ。
なんかあったん？」
「っな、何もないよ、」
「こいつがほんまにビビりすぎてん！笑」
いつも通りの、ニコニコ笑顔で言うしげ。
その笑顔を向けられると、胸がキュってした。
私に目配せするとすぐ神ちゃんたちに向き直った。
しげ、記憶、まだ戻ってないんだよね・・・？
しかも、私たち付き合ってないし・・・
なのに、何で・・・？
あのキスは、何だったの・・・？
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作者名：まるえだまめいんげん | 作成日時：2022年10月4日 16時
