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「むふふ、むふふふ」
「なぁーに？そんな気色悪い声出してー」
「はっ？！お母さんそれはひどくない？！」
「はいはい、それで？今日どっか行くんでしょ？」
そうです！！
今日は、しげの退院祝い、そして、しげともっと仲良くなろうの会でございます！！！
軽音部の5人で遊園地に行くでございます！！
朝目覚めた時から、いや、昨日の夜から気分は上々！！！
大興奮で卒倒しそうです。
一番気に入ってる服を着て、30分かけて髪を整えて、うっすらお化粧もして、ちょっとヒールのある靴を履いた。
褒めてもらえるといいな
って心のどこかでちょっと思ってるけど・・・
『ピンポーン』
しげの家のインターホンを押した。
ドスドスって音の後、しげが出てきた。
私服見るの、久しぶりかも。
やばい。
ちょっとかっこいいって思ってしまった・・・
「おはよ。」
「おはよ、A！」
しげは最近よく私の名前を呼ぶ。
まあ、事故に遭う前もそうだったけどね。
「じゃあいこか。」
「そだね。」
集合場所のいつもの駅への道中、しげは珍しく静かだった。
「なあ、A？」
「んー？」
「俺の記憶が戻らないのって、不便？」
急に口を開いたと思ったら、出てきたのはそんな言葉。
でも、
「んーん。」
しげの記憶は早く戻ってほしいって思ってるけど、別に不便ってわけじゃない。
「じゃあ、俺が記憶喪失になって悲しい？」
「んー今はあんま」
「そっか。ならよかった。」
「・・・どうしたの？急に？」
「いやぁ、やっぱり、流星と、花巻さんとはまだやっぱ顔合わせずらいなって。」
「えーしげが？！」
「そんなびっくりすることないやろ！！」
いや、まじで、心底びっくり。
しげがそんなこと言うなんて。
「ふふ。
だいじょぶだよ。
みんな、しげのこと大好きだから！！」
そう私が言うと、しげの顔が、ちょっと綻んだ気がした。
駅が見えてきた。
ロータリーのところには、もう3人が着いていた。
「ほら、行こ！」
しげの手を引き、走って向かう。
ワクワクする1日が始まりそう。
期待を胸に、夏の風を吸った。
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作者名：まるえだまめいんげん | 作成日時：2022年10月4日 16時
