弐佰) 報告 ページ10
Aちゃんの様子に心配になる
「何回か呼びかけたけど、Aちゃん全然気が付かなかったから...」
私の言葉にAちゃんはゆっくりと立ち上がりながら言った
A「ごめんごめん」ハハッ
しかし、その口からは生気を感じない乾いた笑いが漏れる
「Aちゃん...??」
その様子に思わず問いかけてしまう
A「ちょっと疲れが出ただけだよ」
A「それよりどうしたの??」
Aちゃんが言ってることは嘘じゃないみたい
顔はとても疲れ切っていた
月明かりのせいか
ただでさえ白いAちゃんの顔が更に青白く見える
「土方さんがそろそろ撤収するって」
Aちゃんの様子も心配だけど、
とにかく土方さんから任された言伝を伝えなければならない
A「そっか、じゃあ皆を待たせちゃ駄目だし早く行こっか」
そう言ってスタスタと歩き出す
一見普段のAちゃんと変わらないみたいだけど、
声にも瞳にも覇気がない
本当に疲れが出ただけだといいけど...
先を行くAちゃんに遅れないように、
私は小走りで後を追った
〜千鶴side end〜
・
・
・
警備の任を終えて、私たちは屯所に帰ってきた
月は真上をすぎて少し傾きかけていた
もう日付を越したのだろう
屯所に着くと各々解散して自室に戻って行った
無事に帰ってこられたし総司に顔出しておこうかな
でもこんな時間だし、もう寝てるかな
そんなことを考えながら
重い身体を引きずって総司の部屋に向かう
A「総司、起きてる??」
部屋の前から声をかける
沖田「Aちゃん??」
部屋の中から総司の声が聞こえた
そしてすぐに戸が開かれる
沖田「おかえり」
A「...ただいま」
"おかえり"
総司にそう言われたことに何故かとても安堵した
沖田「随分汚れてるみたいだけど、何かあったの??」
A「うん、ちょっとね」
A「でも怪我はしてないよ」
沖田「血もついてないし、本当みたいだね」
A「帰ってきたって報告しようと思ってただけだから」
A「そろそろ行くね」
パシッ
振り返って自分の部屋に戻ろうとした時、腕を掴まれる
沖田「顔色悪いよ」
A「......月のせいだよ」
そう言って半ば強引に手を払う
疲れが出ただけだろうだし、そんなに心配することでもない
A「じゃあ、おやすみ」
そう言って私はその場を後にした
22人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時