壱佰玖) 疲労 ページ9
哀燐や風間達が去り、二条城の警備の任も終わろうとしていた
突然の襲撃
凄まじい音
そして、その襲撃によって凹ませられた壁や地面
それらの処理をするため
土方さん達は上の人達に説明しに行くなど
忙しそうに動いている
そして、皆の言葉に嬉しさを感じたのもつかの間
哀燐の言葉を思い返していた
A「...」
ぼんやりと月を見上げる
"自我を保とうとしている"
哀燐は確かにそう言ってた
きっと星樺妃が黒蓮に何かしたのは確実だけど、
その"何か"が想像できない
それに風間たちを狙う目的もそうだ
だけど鬼に関連していることは確か
てことは千鶴も狙われる危険があるってことだよね...
スッ
不意に視界に影が落ちる
A「...??」
そして顔を覗き込まれる
雪村「Aちゃん...??」
A「千鶴」
深く考え込んでいたせいか千鶴に全く気が付かなかった
それになんか疲れてきた
さっきは力を使った気がしないとか言ってたけど
今になってその反動みたいなものが来ている気がする
息をするのでさえ億劫なほど、疲労感で身体が重い
雪村「何回か呼びかけたけど、Aちゃん全然気が付かないから...」
A「ごめんごめん」ハハッ
雪村「Aちゃん...??」
自分の口から放たれたあまりに乾いた笑いに
自分でもギョッとした
A「ちょっと疲れが出ただけだよ」
A「それよりどうしたの??」
雪村「土方さんがそろそろ撤収するって」
A「そっか、じゃあ皆を待たせちゃ駄目だし早く行こっか」
雪村「...う、うん!!」
・
・
・
〜千鶴side〜
土方「千鶴、Aにそろそろ撤収だと伝えてきてくれねぇか」
哀燐と名乗る人の襲撃の説明を
上の人に伝え終わった土方さんはだいぶ疲れた様子だった
きっと、伝える内容を考えるのにだいぶ頭を使ったのだろう
「私、Aちゃんのところに行ってきますね」
そう言い残してその場を後にした
「あっ、Aちゃん!!」
先程、戦いのあった場所で
Aちゃんはしゃがみ込んで月を見上げていた
呼びかけても反応がない
聞こえてないのかな??
「Aちゃん!!」
少し大きな声で呼びかけてもピクリとも動かない
私は側まで言って顔を覗き込む
普段のAちゃんなら
気配に気づかないことなんてないのに....
そして私に驚いた様子もなく振り返る
A「千鶴」
その瞳にはいつものような覇気は無かった
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時