弍佰参拾弍) 浄化 ページ50
雪村「沖田さん、」
立ち去ろうとする沖田さんに声をかける
沖田「何??」
雪村「Aちゃんにも...伝えてあげてくださいね」
雪村「私からは何も言いません」
沖田「分かったよ」ニコッ
少しの間私を見つめて、いつものような笑顔でそう答えた後
部屋に戻って行く
沖田さんを見送ってから暫くして
私もその場を後にした
〜千鶴side end〜
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〜八瀬の里〜
A「えっ...」
視界に入ってきた衝撃的な光景に思わず声が漏れる
木で作られた大きな扉は砕かれ、
八瀬の里の入口である門は半壊していた
私が思っていたよりもずっと深刻な状況らしい
A「お千達は...」
急いでお千の屋敷に向かう
民1「や、やめて!!」
民2「姫様を離せ!!」
屋敷に続く竹林を進む中で聞こえた言い争っている声に、
私はさらに足を速めた
A「...!!」
竹林を抜けると血の匂いが鼻を抜けると同時に
黒いウネウネとした水のようなものに
首を絞められているお千と
血を流し倒れる君菊が視界に入る
A「お千!!!!!! 君菊!!!!!!」
私はお千の首を絞めているモノに対して氷剣を飛ばすが
手応えはなく、ソレに飲み込まれてしまう
まさか...."魈"
"魈が漏れてきている"
その最悪の考えが頭をよぎる
A「殿丸、君菊を頼むよ」
殿丸「任せて」
A「"神力"を使う」
殿丸「っ...!? 出来ないよ、反動が大きすぎる!!」
A「それでもやる、目の前でみすみす殺すなんてことは絶対にさせない」
殿丸「待って!! A!!」
殿丸ごめん...でもやらなくちゃ
決めたんだよ
誰も死なせないって
私は、目を瞑り深く息を吸った
この程度なら...きっと大丈夫
ビュンッ
地面を強く蹴り、一気に距離を詰める
お千「A...ちゃ..ん」
A「遅くなってごめん」
意識朦朧とするお千の手をそっと握ったあと、
"ソレ"に手をかざす
その瞬間、辺りは黄金の光に包まれる
その光は私が手をかざす"ソレ"にどんどん集まってくる
やがて、
黄金の光に包まれて黒い部分が見えなくなった
A「浄化」
そう唱えると、
光の玉はグッと縮んだ後
破裂するように弾けて消えていった
A「...出来た」
これが、私の人生で初めての"浄化"だった
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時