弍佰参拾) 絶対に ページ48
ズシャァァアア
その音と共に、私の身体は地面に擦り付けられる
A「いった...」
盛大に転んだ
膝は擦りむけ血が滲む
A「っ...」ジワッ
頭は冷静だけど、心と身体が追いつかない
"総司が死ぬ"
その言葉がずっと谺していた
バチンッ
A「私が泣いてどうするの!!」
そう言って頬を叩く
今はただ、
月に行くこと
薬のことだけを考えればいい
総司は新選組にとって必要な人
...私にとっても必要な"仲間"
総司はいつも私を心配してくれてた
きっと本人は隠しているつもりなんだろうけど...
確かにパッと見は"いつも通り"の総司
だけど、なんとなく...感じたんだよね
その"なんとなく"が合っていようがなかろうが関係ない
実際、私はそれで救われてきたから
飄々として自由気ままな猫みたいな一面
繊細で少し触れれば壊れてしまいそうな硝子細工のような一面
新選組の前に立ち塞がる敵は容赦なく切り捨てる冷酷さと
それと同じくらいの思慮深さ
そして時折見せる子供のような一面...
この一年半程の間、色々な"沖田総司"を見てきた
新選組に来た初めの頃は、
いつ斬り付けられるのかと警戒していた
傷が治るからと言って、痛くないわけではないから
痛みを感じないで済むのならそうしたい
だけど、
いつの間にか総司の小姓になって
一緒にいる時間が増えて
ご褒美もくれて
一回だけ事故はあったけど...
総司といる時間が心地よくなった
「いい仲間と巡り会えた」
そう思ったんだ
今までは気にしてなかったことも、
振り返ればわんさか出てくる
...絶対に助ける
私の何を賭けてもいい
どうせ死ぬんだから
新選組を、総司を守って死にたい、
その願いが叶うなら、本望だよ
私は膝に付いた土を払いながら立ち上がる
A「黒蓮と鈴のことは、もう待ってられない」
A「こっちから無理やりこじ開けてでも月に行く」
A「お千のところに行かなくちゃ...」
お千なら...この地に来た最初の鬼の血筋なら、
何か知っているかもしれない
それに、さっきの二人の様子も気になる
里に行くのは早い方がいい
A「行かなくちゃ...」
私は期待と不安を抱えて、
八瀬の里に向かうことにした
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時