弍佰弐拾捌) 病名 ページ46
「なんでかなぁ」
その日の夜、僕は月を見ていた
"一人で悩まないで欲しい"
"頼って欲しい"
そう思っているのに、
君はいつも一人で突っ込んで、抱え込んで、悩んでる
ここに来た初めの頃
「自分の問題に巻き込んだ」
そう言って月に照らされていた君は、
すぐに消えてしまいそうなほどに脆かった
そしてまた最近、"そうなっている"気がする
僕は、
人から頼ってもらいたいなんて思うことが殆どないから
ましてや女の子に対してなんて、もってのほかだ
だから、
君に"頼って欲しい"と伝えるだけなのに躊躇してしまう
こんな状況なのに
僕は、君にかける言葉を探してるんだ
〜沖田 side end〜
・
・
・
・
・
A「怪しい...千鶴、私少し様子を見てくる」
明らかに人目を避けるようにして建物の影に向かう二人は
どこからどう見ても怪しかった
それに、呼び出されているのが総司ってことも不安だから
"大きな病だったらどうしよう"
その不安が私の中で一気に膨らんだ
雪村「私も一緒に行く」
A「分かった」
私達は、
積まれた洗濯物と水の入った桶を端に寄せてから
二人に気づかれないように
こっそり建物の影から見守ることにした
松本「〜だろう」
A「ちょっと聞こえにくいな...」
私は少し身を乗り出す
松本「食欲が振るわず、微熱が続き、夜中に大量の汗をかく」
沖田「えぇ」
松本「はぁ...結論から言おう」
A「あっ、聞こえた聞こえた...」
私がそう言ったと同時に、
松本先生は総司に病名を告げた
松本「お前さんの病は"労咳"だ」
A「...ろう、がい??」
"労咳"
私はその病の名を聞いてもピンと来なかった
A「千鶴」ボソッ
千鶴なら知っているのではないかと隣を見る
しかし、
千鶴は目を見開き口元を抑えて固まっていた
A「??」
沖田「なんだ、やっぱりあの有名な"死病"ですか」
バッ
勢いよく振り返る
頭を金槌で殴られたような衝撃が私を襲った
死病...??
今、"死病"って言ったの??
言った本人はいつも通りの様子だった
しかし、松本先生の表情は厳しく
私の聞き間違いでないことを知らしめる
じゃあ...総司は死ぬ...の??
目の前の受け入れられない現実に、
私は目を見開いたまま固まっていた
22人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時