弐佰弐拾伍) 受容 ページ43
千姫｢今から十年ほど前、幕府からの誘いを断った雪村の里は幕府の手によって滅ぼされたと聞いているわ｣
千姫｢だけど、貴方の小太刀を見て確信したの｣
千姫｢雪村の生き残りだって｣
雪村｢この小太刀は特別なものなの??｣
A｢雪村家にはね、"小通連"と"大通練"という家宝があるの｣
A｢小通連は小太刀、大通練は大太刀｣
雪村｢それって...｣
そう言って、千鶴は腰に差してある小太刀に視線を向けた
千姫｢そう、それが雪村家の家宝"小通連"よ｣
雪村｢そっか...私、本当に"そう"なんだね｣
A｢千鶴、鬼は嫌??｣
雪村｢ううん!! 嫌じゃないよ!!｣
千鶴は勢いよく首を横に振る
雪村｢ただ、自分が鬼だって...しかも姫だなんて｣
雪村｢私は...｣ｼﾞﾜｯ
ｶﾞｼｯ
俯いた千鶴の手を握る
A｢千鶴!! 私はね、人間でも鬼でも千鶴は千鶴だと思うよ｣
A｢優しくて、可愛くて、でも芯があって、時々ちょっぴり過保護だけど...｣
頬を膨らませた私を見て、千鶴はクスッと笑った
A｢最初は不安だろうし、信じたくないかもしれない。｣
A｢だけど、あまり悪く考えないで｣
A｢千鶴は千鶴だよ｣
A｢それに、私達がついてる!!｣
千姫｢そうね、私達は千鶴ちゃんの味方よ｣
千姫｢初めて会ったばかりじゃ信じきれないでしょうけど｣
お千は少し寂しそうに笑った
雪村｢そんなことない!!｣
雪村｢....ありがとう｣
雪村｢私一人だったら本当のことも知れなかっただろうし、知ったとしても、何も出来なかったと思う｣
雪村｢だから、ありがとう!!｣
千鶴は涙を浮かべながらもニッコリと笑った
良かった...
千鶴に真実を受け止めてもらえるかどうか心配だったけど
少し戸惑いながらも
最後は気持ちが晴れたような笑顔を見せた千鶴に安堵する
ﾋﾟﾘｯ
千姫｢...!!!｣
君菊｢姫様｣
千姫｢えぇ｣
A｢どうかした??｣
千姫｢ごめんなさい、ちょっと用事を思い出して...｣
千姫｢今日はお暇するね｣
雪村｢そっか...今日は本当にありがとう｣
千姫｢千鶴ちゃん、近いうちにまた会いましょうね｣ﾆｺｯ
雪村｢うん!!｣
千姫｢Aちゃんも｣
A｢そうだね、また近々｣
私と千鶴は見送りをするため、
足早に部屋を出る二人を追った
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作者名：雪姫華-yukika- | 作成日時：2024年3月17日 19時
