壱佰捌) 襲撃・陸 ページ5
??｢...｣
その瞳は髪と同じく漆黒で、
全ての光を吸収するかのように生気のない瞳だった
A｢一体なぜ、私を狙うの｣
哀燐｢私は哀燐(ｱｲﾘﾝ)....別に私が選んであなたを狙っているわけではない｣
A｢どういう...｣
哀燐｢私に選択や意思は必要ない｣
哀燐｢ただ、ご主人様の指示を遂行するだけ｣
A｢ご主人様って誰??｣
哀燐｢言う必要は無い｣
哀燐｢そのような指示は受けていない｣
哀燐と名乗る女は見た目は人だが
言葉、思考、視線全てが造られた人形のようだった
私は急いで体勢を立て直す
A｢とにかく、私を襲ったってことは敵だね｣
哀燐｢私の目的は貴方だけじゃない｣
そう言って哀燐は結界の方に視線を向けた
哀燐｢あの鬼達に用がある｣
そして目の前から消える
哀燐は結界へ瞬時に移動すると
拳を振り下ろして結界を砕こうとする
A｢なっ...!!｣
気配からして月からの刺客だ
なのになんでこの地の鬼に用があるの??
私を襲うなら納得出来る
だけど、なんで風間達を...
待って、確かにさっき狙っていたのは私じゃなくて風間だった
ていうことは、一番の目的は私じゃなくて風間達ってこと??
A｢殿丸!!!!｣
殿丸｢呼んだ??｣
A｢みんなを護って!!!!｣
殿丸｢承知｣
殿丸は大きな鳥に形を変え、哀燐の後を追う
私も皆を守らないと
そのためには哀燐を結界から離す必要がある
A｢大丈夫、沢山鍛錬したんだから...｣
私は首にかけた雫型の首飾りを握って呟く
そして、
力を解放した
地面は水面のように揺れる
こうなれば私を囲む地を支配したも同然
私の持つ水属性は、一番柔軟で変化自在だし
氷にして鋭くすることも可能だ
A｢行くよ｣
思いっきり地面を蹴り哀燐の背後を取る
そして右手を振り上げた
ｻﾞﾊﾞｱｱｧｧｱｱﾝ
地面が突き上がる
突き上げられた地面は哀燐の前に壁のように立ちはだかった
A｢まずは、私を相手してよ...ね??｣ﾆｺｯ
哀燐｢力は黒蓮が奪ったはずじゃ..｣
哀燐は警戒したように後ろに飛び退いた
A｢黒蓮...??てことは、貴方も星樺妃の手下ね｣
哀燐｢あんな出来損ないと一緒にしないで｣
哀燐｢あんな中途半端な...｣
A｢出来損ない?? それってどういう意味??｣
A｢それに中途半端って...｣
哀燐｢完璧に作られた私と違って、意思を捨てきれない奴は認めない｣
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作者名：雪姫華-yukika- | 作成日時：2024年3月17日 19時
