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弐佰拾捌) 暁闇 ページ36

私は日が昇る前に目が覚めた




外はまだ薄暗い









A「...鍛錬しないと」









急かされるように布団から出て寝間着から着替える




屯所が移ってからは部屋を一人で使えるようなったから、
だいぶ動きやすくなった




それに、千鶴にとっても一人の時間が必要だろう









A「はぁ...」









昨日の出来事を思い出して、ため息をつく




手紙を誰が送ったかは分からないけど、
内容を見るに信じるしかなかった




だから、万が一に備えて準備を始めなきゃ




力が弱くなろうとも鍛錬を積み重ねればきっと力は元に戻る









A「ここなら、大丈夫かな」









まだ早すぎる時間だから、
中庭は避けて 屯所の正面に来た




ここは広いしみんなの部屋から離れているから
多少音を出しても睡眠の邪魔はしないだろう









A「早速」









手を真っ直ぐ前に出す




三間ほど先に水の的が出来上がった




水の的なら攻撃しても音は出ないし衝撃も吸収できる









A「さて、今の私はどれくらいなのか」









身体を縁取るように氷で出来た剣が漂う




そして、
すぐに水の的へ狙いを定めて勢いよく飛んでいく




半分の剣が的の中央を
もう半分の剣は中心から外れたところを貫いた









A「うそ...」









以前まで操作性は完璧だった




それは、
幼い頃に力を鍛え始めてから揺るがない事実だったのに...









A「いよいよ、月が危ないってことね」









本当は、今すぐにでも国に戻りたい




でもそれはこっちに"何も心残りが無かったら"の話

それに、
私は自分の意思で地上に来たわけじゃないから
私が望んで戻れるものでは無い




月から地上に道を繋ぐには条件がある

それは、








一、道を開くことを認められた者

二、自らの意思で開かれた道







つまり、
私は二つ目の条件に当てはまっていない




私は星樺妃によって開かれた扉から追放されたため、
条件を満たさないまま地上に来てしまった




だから、月に戻るには
誰かが道を繋いで私を連れ戻す必要がある




...それを頼めるのは、黒蓮と白鈴しかいない




だけど、
あの二人はまだ時期じゃないって連れ戻すことを拒否している









A「どうしてっ...」









ギリッ







歯が音を立てて擦れあった

弐佰拾玖) 招待→←弐佰拾漆) 歪む・伍



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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時

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