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弐佰拾漆) 歪む・弐 ページ32

「!!!」









突然の出来事に声が詰まる









フワッ









そうしている間に、
床に滴り落ちた血はシャボン玉みたいにフワフワ浮き始めた




追い打ちをかけるような怪奇的な状況に、
呆気にとられてしまう









黒蓮「くそっ...」









ふわりと浮いた自分の血を見ながら、
お兄ちゃんは憎たらしそうに言った







そして、憔悴しきった顔で再び口を開く









黒蓮「Aのところに行かないと」









お兄ちゃんがボソッと呟いた言葉を私は聞き逃さなかった







「お姉ちゃんのところに...??」







お兄ちゃんは先を急ぐようにスタスタと歩き始める







だけど、
それとは反対の方向にシャボン玉のような血は飛んでいく







お姉ちゃんの様子を確認したいから、
お兄ちゃんについて行きたい気持ちは凄くあるけど...







自我を持ったように飛んでいく血の玉を
追わないわけにはいかない







「お兄ちゃん、あとでちゃんと聞くからね」







小さくなったお兄ちゃんの背中に向かって呟く







そして、私は飛んでいく血の玉を追いかけた
















「ここって...」







暫く後を追っていたら

飛んでいた血の玉は"ある部屋"に入っていった







ここは星樺妃の部屋...だよね







部屋の戸が僅かに開いてる







そこから中の様子を見ることにした









星「ほれ、哀燐また来たぞ」







哀「こんな汚い力より、ご主人様の力が欲しいです」









あれは誰??

初めて見る顔だけど...







しかも、お兄ちゃんの血を"汚い力"って言ったよね??







それに"また来た"ってことは
さっきのが初めてじゃなかったってこと??









星「そうは言ってものぉ...お主の身体は、ほとんどがあやつの力と"もう一つ"で出来ておる故、妾の力じゃ足りぬだろう」







哀「はぁ...そうでした」

哀「じゃあ完全になれたら、私にご主人様の力を入れてくれますか??」







星「もちろんじゃ、わらわの愛しき子よ」









お兄ちゃんの力で作られた身体...??







どういうこと??









哀「...誰かいる」









「あっ...」







状況を理解するのに集中しすぎて、
気配を消す力が緩まっていた









「あと少しだったのに...」









もう少し話を聞けば何かが分かりそうだったけど

...逃げないと









「蝶術転送」















白鈴の身体は光り始める

そして、数多の蝶になって消えた

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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時

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