弐佰拾漆) 歪む・壱 ページ31
チラッ
扉に入る瞬間、
矢に結び付けた手紙をAがちゃんと読んでくれているかと
気になって振り返る
そして、少し立ち止まって目を凝らした
Aが木のそばで紙を広げている様子が見えた
表情までは見えないけど、きっと理解してくれているはずだ
大変な役割を押し付けるようになってるけど、
僕だって何もしないわけじゃない
この命を賭けるくらいの覚悟は出来てる
....とっくのとうに
白鈴「お兄ちゃん??」
「...なんでもない」
「A、後で...な」ボソッ
そう言って
白鈴と共に扉に足を踏み入れた
〜黒蓮side end〜
・
・
・
・
・
〜白鈴side〜
数刻前 月の国
今日も星樺妃に目をつけられないように
息を潜めて過ごさなきゃ行けない
「はぁ...国はどうなるんだろう」
天井を見上げながら呟いた
この国は
お母さんが暗黒の間に閉じ込められて
お姉ちゃんが国を追われた日から時が止まってる
最近、天は暗い雲で覆われて
月の光が弱くなった
そのせいか
身体がだるくて、力を使うとすぐに疲れるようになった
月にいてもこんなんだから
お姉ちゃんはもっと辛いはず...
本当なら、前みたいに月と向こうを繋げたいけど
今の私じゃ力が足りなくて出来ない
お兄ちゃんにも頼んでみたいけど、
最近は前よりも様子が変だからなかなか頼めないし...
私はこういうのは苦手だから
すぐバレちゃうかもしれないけど
調べた方が良さそう...だよね
もしかしたらお兄ちゃんは
誰かのせいで"そうさせられてる"かもしれない
やらないよりはマシだよね
だってお兄ちゃんは、
お姉ちゃんを傷つけるような人じゃないもん
月の光が弱くなってるってことは、
お兄ちゃんも気配を感じにくくなってるもしれないし
気付かれない可能性だってある
「よしっ、お姉ちゃんがいない分私が頑張らなくちゃ!!」
そういった時、
カタッ
部屋の外から物音が聞こえた
静かに戸を開けてみる
「あれ、おにい...」
そこまで言いかけた時、口を噤んだ
黒蓮「うぐっ.....」
苦しそうに顔を歪ませて背中を丸めるお兄ちゃんがいた
黒蓮「ゲホッゲホッ」
そして、咳き込んだお兄ちゃんの口元からは血が滴り落ちた
22人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時