弐佰拾陸) 悪役 ページ30
とにかく、
いつでも月に行けるように少しでもやることを片付けなくちゃ
まずは、お千のところに千鶴と一緒に行く
事情を話せば土方さんも近藤さんも許してくれるだろう
でも...
この手紙のことは誰にも言わないでおこう
きっとみんなのことだから
「一緒に行く」とか「一人で行かせられない」とか言い出すだろう
これは月の問題で私が解決しなければいけない問題だ
王位継承権が無くなったとしても、
三人の中では一番力が強いという事実がある
それに、白鈴にも
...黒蓮にも危ないことはさせたくない
たとえ
黒蓮が私の敵であろうとも過去の思い出は変わらないから...
とにかく、みんなを巻き込むわけにはいかない
新選組は、
活躍が認められて活動範囲も広がってきている大事な時期
A「私が.....全部守る」
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〜 黒蓮side 〜
ギリッ
「あと少し...」
ギリリッ
弓を引いて
遠くに小さく見える木の幹へ焦点を合わせる
パァァアアンッ!!!!
限界まで引かれた弓は大きく音をたてて放たれた
「....」
トスッ
すぐに矢が刺さる音が聞こえる
「分かってくれるよな」
「君が居たらきっと救えるんだ」
「僕は.....何も出来なかったから」
グッ
強く拳握ったせいで爪が手のひらに突き刺さり
ピリッと痛んだ
本当のことを話すべきかまだ迷っている
本当のことを言って、
責任を感じさせてしまうんじゃないかって
でも、知られないまま悪役で死んでいくのもいいかもな
でないと...
"僕が未練を残して死ぬことになるから"
「どっちにしろ、僕は嫌われてるだろうなぁ」
「ははっ」
口から乾いた笑いがこぼれる
あんなことしたら そりゃ嫌われるよな
白鈴「お兄ちゃん」
ふと後ろから声が聞こえる
「白鈴、来るなって言っただろ」
白鈴「危ないから来ちゃダメっていったのにお兄ちゃんはいいの??」
「こっちが危ないんじゃない」
「"あっち"で目つけられるだろ」
白鈴「バレないように気をつけてるよ」
「そういう問題じゃない」
白鈴「でもっ...」
「とにかく、僕は用事も終わったから今すぐ帰るぞ」
そう言って白鈴の腕を掴み、月へと空間の扉を繋げた
白鈴には申し訳ないけど
"今怪しまれる訳にはいかない"
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時