弐佰拾肆) 手紙 ページ28
藤堂｢分からねぇや｣ﾊﾊｯ
平助の口から乾いた笑いが漏れる
A｢すぐに分からなくていいと思うよ｣
A｢自分のことは自分が一番よく分かってあげられるんだから｣
A｢ゆっくり答えが出るまで考えればいい｣
藤堂｢そう...だよな｣
藤堂｢A、ありがとな｣
A｢いいんだよ｣ﾆｺｯ
A｢平助の気持ちが少しでも晴れれば私も嬉しいから｣
・
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藤堂｢俺、千鶴のこともAのことも守るって決めてんだ｣
少しの静寂の後、平助はポツリと言った
藤堂｢Aに比べたら、俺は力が足りないかもしれないけど、加勢するには申し分ないだろ??｣
藤堂｢なんたって、俺は魁先生だからな!!!!｣
そう言って、ニカッと少年のように笑った
平助の太陽みたいな笑顔は見ているだけで元気になれる
それはきっと皆も同じで、
平助が居るだけで場の空気が明るくなるのは周知の事実だ
平助の笑顔はそういう不思議な力を持っている
A｢私は皆が弱いなんて一度も思ったことはないないよ｣
A｢死にそうになったら守ってよね｣ ﾆｺｯ
平助は私の言葉に満足そうに笑う
良かった、いつもの平助に戻ったのかな
藤堂｢じゃあ俺そろそろ行くから｣
藤堂｢おにぎり、ありがとな｣
平助はおにぎりを片手に立ち上がる
A｢どういたしまして｣
そして、小さくなる平助の背中を暫く見つめていた
・
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・
A｢そろそろ戻らないとかな...｣
いつの間にか空はうっすらと橙色になっている
そんなに休んでいたつもりは無いんだけど
A｢よいしょっと｣
ゆっくりと腰をあげる
長い間石畳に座っていたせいか、お尻が痛い
A｢いてて...｣
お尻を擦りながら足を踏み出した時、
ﾋﾞｭﾝｯ
ｻﾞｸｯ
A｢!?!?｣
近くの木の幹に矢が刺さる
その矢には紙が結びつけてあった
近くに気配は無い
まぁ、今の私の状態じゃ当てにならないけど...
辺りを確認してから素早く矢を引き抜く
ｶｻｯ
そして結ばれた紙を解き、ゆっくりと広げた
月に暗雲が立ちこめる
それらを祓わなければ、力は弱まる
白は黒に
黒は漆黒に
賢い君なら分かるよね
A｢月に雲が...｣
ﾄﾞｸﾝｯ
走り書きで短く記されたその文を読んで
心臓が強く脈打つ
A｢...まさかっ｣
そして私の鼓動はさらに速くなった
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作者名：雪姫華-yukika- | 作成日時：2024年3月17日 19時
