弐佰玖) 見本市 ページ22
綱道「確かな良心があるからこその決断だったんだと思う」
きっとこの言葉は千鶴を思っての言葉ではなく、
松本先生の本当の思いだろう
だけど...
千鶴は鬼
つまり、綱道さんも鬼だということになる
そんな人がわざわざ羅刹の研究をするだろうか??
鬼は人間と関わるのを避ける
それなのに、
綱道さんはわざわざ新選組と縁をつくって羅刹の研究をした
...ということはそれなりの理由があるはず
それに、
新選組から姿を消した後に火事があったと聞いたけど
焼死体は見つからなかったって言っていたし
もし羅刹の研究をやめて、
人と距離を置くことが目的だったとしても
千鶴との連絡を絶った理由とは考えられない
...まぁ、今深く考えても仕方がないけど
頭の隅に置いて行動した方が良さそう
松本「自信を持ちなさい」
松本「君の父上は尊敬に値する人物だよ」
松本先生はそう言って穏やかに笑う
雪村「はい」ニコッ
その言葉に千鶴も笑顔で応える
しかし、松本先生はすぐに少し呆れた様子で再び口を開いた
松本「それに綱道さんが居ない今、新選組に君がいてくれてよかった」
雪村「??...どういうことですか??」
松本先生の言葉に首を傾げた千鶴は私の方へ視線を向けるが
私も言葉の意味を理解できずに首を横に振った
松本「はぁ...」
松本「今日の健康診断での怪我人や病人を合計したら、全隊士の三分の一近くになる」
近藤「な、なんと!!」
松本「なんとじゃないぞ近藤さん!!」
松本「あんたらは今まで何をやっていたんだ!!!!」
驚く近藤さんに対して松本先生は声を荒らげる
怒るのも無理は無い
隊士の三分の一と言ったら相当な数だ
それに
流行り病の時期でもないのにこの数の隊士が不調だとなると
日頃の衛生管理や体調管理が杜撰だと言っている様なものだ
松本「切り傷からしぶり腹までこの屯所は病の見本市だぞ!!」
まさか、そこまで酷いとは...
千鶴が戦いで負った隊士達の手当てをしているとはいえ、
大きな傷を負った者が優先だ
そういった場では、小さな傷は後回しになる
そうなれば隊士達も"少しくらい大丈夫"と思うのだろう
...分からなくもないけど
それに、
少し体調が悪くても休めば治ると思うだろうし
診てもらうのが面倒だと思う隊士もいるだろう
近藤「病の見本市...」
松本「まずは、病室を用意してそこに病人を運び込む!!」
松本「衣類は全て消毒!!」
松本「埃を払って...とにかく屯所を清潔に!!!!」
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時