弐佰漆) 消息 ページ20
それから暫く経ち、隊士達の診察が終わった後
私と千鶴は近藤さんの部屋に呼ばれた
A / 千鶴「失礼します」
近藤「おお!! 来たか!!」
近藤さんは私達へ笑顔を向けると
自分の前へ座るように促す
部屋には先程まで隊士達を診ていた松本先生もいた
近藤「隊士達の健康診断も終わった事だし、君達も診てもらうのはどうかと考えたんだ」
近藤「それに、松本先生と綱道さんが懇意にしていたことは俺も知っていたから 何か手がかりになればと思いましてな」
A「井上さんから健康診断の話は聞いています」
A「でも、私は今のところ不調もなければ食事も取れてますから大丈夫ですよ」
A「お気遣いありがとうございます」
そう言ってから近藤さんにニコリと微笑んでお辞儀をした
近藤「そうか??」
近藤「まぁ、無理にとは言わんが...雪村くんはどうする??」
雪村「私は...私も大丈夫です」
雪村「それに父からは最低限のことは教えてもらっているので、自分のことは自分で診れますから」
そう言って
「ありがとうございます」
と頭を下げる千鶴の表情はどこかぎこちなかった
きっと、
自分の正体を正確に知ることができてない今は
信頼している人であっても診てもらうのは抵抗があるのだろう
雪村「それに...父のことについても、お気遣いありがとうございます」
千鶴は改まった表情で再び頭を下げた
松本「文はちゃんと届いていたんだが、肝心の君の消息が分からなくてね」
松本「連絡の取りようがなかったんだ」
雪村「そうだったんですか」
雪村「ところで松本先生、父様は...」
少し前のめりになって訊ねる
此処へ来てから、
これといった情報を掴むことができていないことで
焦る気持ちが大きいのだろう
松本「残念ながら、私も綱道さんの居場所走らないんだ」
雪村「そう...ですか...」
千鶴は肩を落として俯いた
私はそんな千鶴の肩をポンと叩いた
A「大丈夫だよきっと」
A「綱道さんと繋がりのあった松本先生にも会えたし、次は綱道さんに会えるよ」
私の言葉に少し表情を明るくした千鶴は静かに頷いた
雪村「ありがとうAちゃん」
雪村「...松本先生、教えて欲しいことがあるんです」
雪村「父様は...父様は本当に"あの薬"の研究をしていたのですか??」
千鶴の言葉を聞いた松本先生は驚いた様子を見せたが
近藤さんと目配せをさせた後、表情を厳しくさせた
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作者名:雪姫華-yukika- | 作成日時:2024年3月17日 19時